二章 ギルドとスキルと勝負 20

 ※※※


 そして翌日。もう空が明るくなり、外に通行人が疎らに見えだした頃である。

 俺が身支度を終えると、部屋に二人が呼びに来た。

 そのまま三人で宿屋から外出する。

 宿屋の外には馬車が用意されていた。

 全員が乗り込むと、すぐさま走りだした。瞬く間にギルドへと到着する。

 先にリキッドがワゴンから降り、入口から中へ進む。

 すぐに俺やダフネも、後を追いかけた。

 すると建物の中では、大勢の職員が一列に並んだ状態でおり、

 「お待ちしておりました!!」

 と全員が一斉に、御辞儀をしながら言ってきた。

 異様な光景だ。と俺は端から見て思い、顔が引きつっているのを感じる。

 対してリキッドとダフネは、気にした素振りはない。

 「これはモリスンさん。…ようこそ、いらっしゃいました。」

 ふとカウンターの先から声がした。

 その直後、一番奥の扉からフォン支部長が慌てて駆け寄ってきた。彼の曲がった腰を、より低くしており、媚びへつらっている。

 リキッドも謙虚な姿勢で、話しかけていた。

 「…フォンさん。急に来て申し訳ないね。」

 「滅相もございません。…立ち話も何ですから、奥の部屋に参りましょうか。」

 とフォン支部長は慌てて返事すると、奥の扉を指で指し示しながら、先を歩いて案内しだした。

 二人も後を付いていき、真っ直ぐカウンターを超えて、奥の扉を潜って中に入っていた。

 俺は放心して突っ立っており、出遅れてしまう。

 隣にいた職員の男性が、すぐさま声をかけてくる。

 「さぁ、坊っちゃんも、どうぞ。」

 「ぼっちゃん?!」

 と俺が狼狽えてしまう。慣れない事に戸惑った。

 同時に職員達の顔に、緊張が走る。「な、何か粗相でも?」と聞いてくる。

 さすがに俺は居たたまれなくなり、急いでリキッド達の後を追いかけたのだった。

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