二章 ギルドとスキルと勝負 21

 それから場所は変わる。

 全員で応接室らしき部屋に入室した。

 その部屋の真ん中には、長テーブルが縦に置かれ、左右には一人掛けのソファーが二台ずつ、揃えて並んでいる。

 右側のソファーに、俺が座る。

 隣には、リキッドが腰かけている。

 ついでに背後には、ダフネも控えていた。

 真向かいの対面側には、フォン支部長が着席してあた。

 まずリキッドが喋りだした、早々に本題に入り、

 「この度は私の身内の粗相で、迷惑をかけてしまったね。…申し訳なかった。」

 と深々と頭を下げた。

 なんとなく俺も見よう見まねで、頭を下げる。

 さらにダフネが一枚の紙とペンを、机、ーーフォン支部長の目の前に置いた。

 「何か壊れたなら、その紙に金額を書いてくれ。…すぐに用意する手配を整えるよ。」

 だがフォン支部長は受け取らず、変顔で萎縮している。今にも悲鳴が上がりそうだった。

 「…何か、…これじゃまだ不服かな?」

 とリキッドは首を傾げ、聞き返す。

 「そこまでして頂かなくて、…け、結構です。対して壊れてないですし、…今回の騒動の発端は、ノイマンの方にも原因がありますからの。」

 とフォン支部長も慌てて紙を返すと、話題を反らしだす。

 「それに、ノイマンの阿呆にもいい薬じゃろうて。…最近はランクCに昇進してから調子に乗って、問題行動が目立っとったからのう。」

 そのまま大人達だけで、話をしていた。

 「そんなに、酷いのかい?」

 「…なにせ中途半端に力が強く、実力もあるから手をつけられんくて、…猿山の親分みたいに、威張りちらしていたんですじゃ。」

 「…依頼を数多くこなして実技の昇格試験を突破すれば、ランクCまでなら上がりますね。…しかし、幾らか人格に難がありません?」

 とダフネが指摘する。まともな意見である。

 対してフォン支部長は、盛大に肩を竦めて「失敗したわい。」と嘆いていた。

 しかし、何故か彼の表情は嬉しそうである。

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