二章 ギルドとスキルと勝負 23

 その答えにフォン支部長は驚き、両目を見開いていた。だが唐突、ハッとした表情となると、

 「ならば、丁度良いですな。…モリスンさんに、ヒルフェ坊っちゃん、是非ともワシらに任せて下さい。」

 と捲し立てて喋りだし、有無を言わさぬ間もなく部屋を飛び出していった。

 続けざまに、「待っててください!」と、廊下からフォン支部長の声が聞こえてくる。

 俺は唖然となった。おまけに嫌な予感もしてくる。

 リキッドやダフネも、顔を見合わせながら、相談しだした。

 「どういう事だろうか?」

 「よくは理解できません。ですが何か嫌な予感しかしません。」

 暫し間、沈黙が漂っていた。次第に不穏な空気が漂いだす。

 「あぁ、もう。」

 するとダフネが痺れを切らした。部屋の外まで様子を見に扉へと近づく。やがてドアノブに手をかけようとした。

 その瞬間に、フォン支部長が再び部屋の中に戻ってきた。

 しかも他の職員か数人も引き連れている。

 異様な雰囲気である。

 すぐさま俺は、喰ってかかりだした。

 「な、なんだよ、急に!?」

 「さぁ、…坊っちゃん。すぐ準備を整わせますので参りましょう。…すぐに連れていけ!」

 しかし、フォン支部長は、間髪いれずに指示を飛ばす。

 他の職員達も、嫌々ながら動き出した。此方の側まで素早く移動したら、流れる様な連携で、俺の身体を担ぎ上げた。

 そのままの状態で、部屋から出ていく。

 俺は全く抵抗する事も出来ないまま、連れていかれた。

 「ひ、ヒルフェ君~!!?」

 と、離れた位置からリキッドが呼んでいる。

 やや遅れて、リキッドとダフネが追いかけてきていた。

 

 ※※※


 そうして再び場所が移動し、ーー

 今度はギルドの外にやってきた。

 そこでは、職員達による人集りが出来ていた。

 真ん前の道路の脇には、三角屋根の仮設テントが建っており、天幕の下には様々な武器が並んでいる。

 今朝に来た時とは違い、物々しい雰囲気である。

 ようやくして俺も、テントの側の地面に下ろされる。

 ほぼ同時に、リキッドとダフネも側まで追い付いてきた。

 「どういう事だ?」

 俺は周りに、問いかけた。

 それでも誰も返事はしない。

 代わりにフォン支部長が、ようやくテントの側にやってきた。

 すると一人の男性の職員も、テントまで歩いてくる。

 彼の後ろには、六人の若い男女がいた。

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