三章 山での攻防 後編 6
「なんでって、逃げたらあの世にいる親父に、顔向け出来ないからだよ!」
だが、ほぼ言い終わった直後に、またボアの巨体が目の前を横切り、今度はテッドだけが衝突されてしまう。
彼は激しく吹き飛び、近くの樹木の幹に身体を激しく打ち付けるののが見えた。
「おい、しっかりしろ!!」
再び、ノイマンが呼び掛けたようだ。
テッドからの反応はない。だが、ー
「私の父親も今の私の様な、低ランクの冒険者だった。…決して強くもないのに、無茶な事に積極的に首を突っ込む人だ。…ある日も魔物に襲われて瀕死になっている別の冒険者を助けに行って、自らも深手を受けながらも連れて帰ってきたんだ。」
と、一人で譫言の様に話を続けており、
「周りにとっては馬鹿な奴だ。と言われても、…誰かの為に一生懸命だった父は私にとって誇らしかったんだ。…だから、…どんなになろうと、父にの様になりたいと思ったんだ。」
さらに再び立ち上がると、フラフラとした足取りで、ノイマンの側に近づいていく。もうどう見ても今にも倒れそうである。
その姿に俺は釘付けとなり、また心の中で何かが、ストンと落ちる感覚を感じていた。ふと同時に、今まで忘れていた祖母との思い出が鮮明に脳裏を過っていた。
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