第二十七話 別に熱血キャラが嫌いなわけじゃない。

「それでは! 第1回体育祭実行委員会を始める! 起立! 礼! 着席!」


 放課後、西棟とか言う天才達が集う所にて、体育祭実行委員会が始まった。

 向かい合わせに置いてある会議室のような部屋。『コ』の字になっており、コの引っ込んだ部分に委員長と副委員長が座っている感じだ。

 ……は良いけど、委員長熱血過ぎひんか?

 

「今日は! プログラムを作って頂く! 副委員長! 『アレ』を!」


 副委員長は小さく「はい」と言いながら『アレ』(なんかの紙)を配り始める。

 配られたのはなんと……プログラム番号と学年だけが書いてあるグラフ用紙だった。

 ? え? どういう事や?


「何か質問者は挙手を!」


 疑問符を浮かべた瞬間、委員会が声を張って言う。

 これさ、質問しない方が可笑おかしいんじゃねーの? マジで。まぁ、怖いから質問しないけど。

 すると隣の春下が手を挙げた。

 お、ナイスタイミング!


「あの、すみません。これ、何書けば良いんですか?」


 全く同じ質問で感謝しかねぇ。


「ああ。これな、これは自分達(委員会)でプログラムを作って来い」


 まさかの投槍!? マジかよ……ってか、自分達で作るってまさか……


「OKです。このネクラと愛と私とでプログラムを決めれば良い、と」


 うわ春下(コイツ)、遂には俺の事ネクラ言い出したぞ。


「読み込みが早くて助かる! つまりはそう言う事だ!」


 理解はできた。理解『は』。


「という事だ! 金曜日提出だから、早めに提出しろよ!」


 今日が火曜日だから……明明後日!?

 マジかよ……マジかよ……


「解散!」


 、とまぁ、ほぼ投槍な体育祭実行委員は終わった。

 問題は……


「わぁ。ネクラとやんのかよ、委員会」


 春下(コイツ)だ。別に愛媛は悪いやつじゃないと思っている。

 春下も悪いやつじゃないのは分かっているが……苦手、苦手だ。


「じ、じゃあ、ファミレスっとく?」


 なにその「ロー○ンで、パピろう!」みたいなノリ。

 2日連続ファミレス? 食費エグいよ……

 そうして、取り敢えず体育祭実行委員会を行い、取り敢えずファミレスに行く事になった。

 ……バイト増やそ。


           *


 取り敢えずで来ちゃったけど、大丈夫なのか?

 少し春下がピリピリしてるし……


「なんでネクラとファミレス来なきゃ行けねぇんだよ……」


 そんな事言ってると、春下ファンクラ部減るぞ。俺は別に信者無いし。ネクラじゃないけど陰キャなのは確かだし……


「うーん……」


 俺が唸っていると前から春下に問われた。


「累、何か頼むん?」


 ちょうどメニューを見てたのも相まって春下には誤解される形で解釈された。

 誤解されたのならその誤解、貫き通すか。


「そうそう。ドリンクバー頼もっかなって」


「あー、マジ? じゃあ私も1つお願い」


「っあじゃあ私も」


 俺が頼もうとしたドリンクバーに反応したのか、春下と愛媛もドリンクバーを頼むのかと言い出した。

 しゃーなし。頼むか。


「すみません」


 そう言い、店員を呼んだ。

 後でガムシロ、盛ったろ。(逆比企谷)


            *


「じゃあ、候補は借り物競走、パン食い競走、騎馬戦、玉入れとかで決定だねっ!」


 愛媛が手を合わせ、笑顔で言う。


「ん、そうだな」


「愛ちゃんありがと〜! お陰で直ぐ決まったね〜!」


 ん? 春下? なんで愛媛にはめっちゃデレてんの? え? 俺には? 悲しい……


「なぁ、累」


 とか思っている中、急に春下に話しかけられる。


「ん? 何、春下」


「1人、怖いから一緒に帰ろ……」


 あれ? 春下以外とビビり?


「愛媛は?」


「方向が別」


「他には?」


「累しか居ない」


 あーね、あーね? あーね!? え?

 要するに「一緒に帰ろ」って事?

 わぁお、わぁお。わぁお……

 とか思っていると、不意に春下に言われる。

 

「だからネクラ、私に付き合って下さい」

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