第三十一話 そして雨宮笑舞は動き出す。

 学校復帰から2週間、特に何も無く物事が進んだ。

 まぁ、何かあるかと言えば、春下と愛媛とRINNE交換した位。

 今日は4日ぶりに体実の集まりがある。多分、体育祭が1週間後だし、最終確認なんでしょ。

 そう思いながら、歩いて西棟へ向かう俺。

 なんかさぁ。その、西棟だけさぁ、雰囲気違くない? 雰囲気強くない?

 とかふざけたこと思っていると、西棟——会議室に着いた。

 会議室の扉を開いても、誰もいない。


「え? あれ? 誰も居らんが?」


 ん? んん?

 会議室前で戸惑っていると、通りかかった女子生徒に話しかけられる。


「す、すみません。今日、体育祭実行委員ないです……多分、明日ですよ?」


 その言葉で思い出した。


「あ」


 体実、明日だったわ。


            *


「初めに! 開会式を行う2人が体調不良でぶっ倒れた! 代理をしてくれる人は居らんか?」


 開会式の人が、ぶっ倒れた……?

 事件だ、事件。やる人が多分1人も居ないぞ? これ。

 予想通り、手を挙げる人なんて居ない。

 そんな中、スマホが少々鳴る。

 スマホを少し覗くと、雨宮からのRINNEが来ていた。


【累君、一緒にアレやんない?】


 !?


            *


 開会式のアレ、やんの?


【アレ、やんの?】


 スマホの上で指を滑らせ、笑舞にそうRINNEを送る。

 数秒後、返信が来る。


【えーっと、その、私達で『体育祭の幕開け頑張ろうぜー!』ってやりたい訳です。だから累君、やろ?】


 やろ? じゃねぇ、やろ? じゃねぇ。


【やろ? と言われましても……】


【お願いします】


 その後、シロクマのスタンプが送られてくる。『お願いします』。と。

 クソ、それズリィよ……断れねぇよ……


【仕方ない、やろうぜ。開会式】


 すると秒で雨宮からRINNEが帰ってくる。


【じゃあ、早速立候補しちゃおっか】


 そのRINNEを確認すると、雨宮は手を挙げていた。

 よし、頑張るか。

 そう思いながら、俺は手を挙げた……。

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