第三十二話 本能のまま、青森累の手はまた動きだす。
「じゃあ累君、ここでジャージを脱いで『モテたい!』って叫んで」
「それ台本ちょっと非人道(陰キャに対する)的じゃね?」
*
雨宮宅にて。
唐突すぎる家の誘いを断れなかった俺は、雨宮の家で開会式の練習をする事になった。
女子の……家。
初めて入る女子の家で俺は少々。いや、かなり緊張している。
そして何の前触れもなく、笑舞の部屋へ。
笑舞の部屋に入ると、1番に目に入ったのは白い壁だった。あと、女子のいい匂い。
次に目に入ったのは本棚。
その次にベッド。
椅子。机、ベッドにあるぬいぐるみ……と、雨宮の部屋を見渡す。
すると雨宮から「あんまりジロジロ見ないでよ……恥ずかしいから……」と来た。
「わりぃわりぃ」と言いながら、雨宮の部屋の中央にある、少し低いテーブルに正座で座った。
「いや、そうやって座れても、すぐ立って練習するよ?」
らしい。
「じゃあ、台本とか作んないの?」と聞くと、「元々書いてあったのを改造したから平気」と帰って来た。
「じゃあ、ここら辺で練習、始めよっか」
その一言で、俺と雨宮は練習を始めた。
*
「ここで……『モテたい!』って……?」
「……うん」
台本。笑わせに来てるんだろうが、少し無理が有る。
だが、雨宮の手が少々入ってるということもあり、少し柔らかくなっている。
ねぇ、最初から考えない? とか言いたいが、言わない。勇気がない。
「笑舞、とその彼氏君。これ、ジュース持って来たから、飲んでねぇ。彼氏君、笑舞に優しくね」
雨宮の部屋の扉が開き、雨宮の母親がコップを持って来た。
横を見ると、顔を真っ赤にしている雨宮が居た。
「母さん! だから違うって! RINNEで言ったでしょ!? 友達! 今日は練習!!」
「そっか。じゃあ、笑舞の時期彼氏君、笑舞をよろしくね」
そうして、雨宮の母親は部屋から出て行った。
「ん〜〜!」
雨宮は、顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。
対する俺は、終始苦笑いで終わった。
*
「じゃあ、累君。今日はここら辺で終わらせよっか」
あれから2時間後、唐突に雨宮にそう告げられる。
「ん、そうだな」
そう言って扉を開けた瞬間、アイツが出た。
「ッ!? ゴキ!?」
そう、Gだ。
俺は虫が大の苦手なので、急いで逃げる。
だが、そんなに広くない雨宮の部屋では、雨宮に当たらない筈が無く……
「キャッ!」
ベッドに雨宮を押し倒す形になった。
右手は、もふもふベッドの上。もう片っぽは……
「累君の、エッチ……」
左手は、雨宮の胸を鷲掴みにする形になっていた。
「違う! これはマジで違うんだ! マジで!!」
そう言いながらも胸を揉み揉み。
冬のと比べると少し小さいが、この大きさも良い。なんかスクイーズ見たい。何だろう、これが本物って奴か。
冬の時は触れていただけであって揉んで無いから分かんないけど、これも……悪くない。
……違うんだ! 雄の本能が暴れてるだけだって!
「累君……? 言ってる事とヤってる事が違うけど……ふっ……そこはダメッ」
俺が本能のまま無心で揉んで居ると、雨宮が「あっ」と言う。
「本当にっ、らめっ……らって。ん、ふっ」
そうやってこのまま一線を超えそうな状況の中、部屋の扉が開く。
「笑舞〜、何か大きな物音が聞こえたけど、何かあった?」
そう言って雨宮の母親が部屋の中に入ると、笑舞の胸を揉んでる俺と押し倒されて顔を赤らめながら揉まれている笑舞が居た。
「ほ、程々にね〜」
そう言い、部屋から出ていく雨宮母。
「マジで……マジで違うんだよぉー!!(確信犯)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます