第二十六話 寺田秋の勘違い、青森累の勘違い 

「お兄ちゃん、おかえりィ!」


 秋が戸を開けると、冬は大きな声で秋に走ってった。

 アイツ、ほんとに大学生か? 小学生の間違えなんじゃ……っあ、おっぱいしっかりおっきいわ。夜にしっかり堪能してたはずなのに、忘れてるってどういう事よ。


「冬、朝ご飯食べた?」


 冬が秋に抱きくと、秋は頭をなでなでしながら冬に聞いた。

 っあ、冬の母性、秋(アイツ)が育んでるな。犯人秋だった件。


「うん!」


 冬が頷きながら元気に言う。


「歯は磨いたか?」


 別の問いを冬に投げかける。


「うん!」


「あのさお兄ちゃん……」


 冬と秋が仲良くしている所を、双葉が小さく俺に呟く。


「ん? どうした双葉」


 すると双葉は少し困ったようにしながら言った。


「なんかこう、バカップルみたいだね」


「しー! それは言っちゃ行けないお約束! ても、冬の兄シスコンだよ?」


 そう小さく喋りあって居ると、急に双葉が大きく「い」の口をする。


「キッッッッッッッッッッッッッショ……!」


 双葉が爆弾を投下仕掛けたので、急いで双葉の口元を抑える。


「双葉! 落ち着け、落ち着け……?」


 やっと双葉は落ち着いたらしく、俺が手を離すと、「ぷはぁ〜!」と言い、深呼吸をした。

 

「ごめん、強く抑えすぎたか?」


「ううん、大丈夫」


「そっか……そうだな」


 俺と双葉がそうやって話していると、冬と秋(シスコン)との話が終わったらしく、冬は支度をしていた。

 そして冬の支度が終わると、冬はこちらへ近づいて来た。


「じゃあ、ルイルイ行こ?」


 別に良いんだけどさ、双葉、どうすんの?

 俺がそうおどおどしていると双葉が「お兄ちゃん」と小さく言った。


「お兄ちゃん、双葉は大丈夫だから。もう、中学生だし。そろそろ受験生なんだよ? だから、気にしなくていいよ」


 フゥータァーバァ〜!

 危ない危ない。思わず可愛い妹に抱きつく所だった。

 シスコン? 知らない知らない。ナニソレオイシイノ? って奴だ。

 そうすると冬は手を叩く。

 

「双葉ちゃんもそう言ってるし、行こっか!」


「あ、ああ。そう、だな」


 そう言い、家を出た。


              *


「ん、お願いします」


 俺が前の座席に座り、挨拶だけ行った。


「いえいえ。お気遣いなく」


 やっぱり秋先輩シスコン、シスコンだから好きだなぁ。礼儀正しいし。優しいし、彼女持って無さそうだし。(シスコンだから妹の他に愛する人が居ない)


「秋先輩、彼女とか居るんですか?」


 思い立ったら最後、秋先輩シスコンに聞いてみた。

 すると返事が来たのはシスコンからではなく、冬からだった。


「お兄ちゃん彼女持ってるよ」


 衝 撃 の 事 実 !


「え? マジで!?」


 そう言いながら後ろの冬の座席を向く。少し、冬を見てから急いで前を向いた。


「冬、なんでブラジャーとパンツだけしてんの!? いや、なんで今着替えてんの!?」


 そう、後ろ向いたらブラとパンツだけの冬が居た。ちなみに上下とも色は青。お、エッロい! 言うとる場合か。


「いやいや、流石にノーブラノーパン彼シャツのまま学校はアウトでしょ。だから、お兄ちゃんに持ってきてもらった」


 あ、あー、あーね、そういう事ね? 

 なるほど。完っ璧に理解したわ。(ポプ〇ピピック)


「そ、そう言う事ね?」


「……」


「……」


 急にみんな黙り込む。するとあることを思い出す。


「あ」


 話題なんだったっけ。忘れちゃった。


「どうしたの? 累君」


「いや、なんでもないです。ただ、話題なんだったっけって話」


「あーね、それなら僕の彼女の話じゃなかったっけ」


「っあー、そうだわ。そうだったそうだった……ってえ?」


 『シスコンだったので流石に彼女は居ないだろうと思っていた人にまさかの彼女が居た』と言う衝撃の事実に俺は思わず同様する。


「そうだよ、彼女居るけど?」


「え? ん? ……は?」

 

 そうやって驚いている間に、冬の大学に着いたので冬は車から降りたのだった。


           *


 冬が車から降り、1分程経過した頃。


「累君」


 急に秋に話しかけられる。


「な、なんですか?」


「冬と泊まったんだよね」


「はい?」


「なんかこう、なんかし無かった?」


「なんかと言われましたけど……」


 ベッドで寝たとかキスとかはしたけど……

 だとしたら、なんかやってるわ。


「……やりました(キスを)」


 俺が小さく言うと、


「えっ!? ヤッたの!?(エッチを)」


 と秋が。

 でも、流石に声でかくない?

 なので、また小さく言う。


「そうですね……10分位やりました(キスを)」


「えっ!? 10分……かぁ……ゆーて長く無いんだね(エッチを)」


 10分って長くね? ゆーて長く無いねってどういう事よ?


「んー、やられている(キスを)間、ずっと抱きつかれてましたね。っあでも、冬は寝てたし、僕もする気は無かったので」


「えっ? ヤル気はなかったのにヤッちゃうもんなの? ……抱き着かれながら、ねぇ? 冬が寝てたのに累君はヤられてた側!? 少しまって?」


 秋が少しくらい固まる。


「妊娠とかしてない?」


 ん、秋先輩可愛いなぁ。そんな迷信(キスすると子供が出来る)を信じちゃって。憎めねーな……彼女持ちだけど。


「流石に妊娠はしませんよ」

 

 言った瞬間、秋が静かになった。


「良かった」


 不意に秋がその言葉を零す。


「累君、ありがとうね」


 え? なんか感謝されたんだけど……怖。

 

「っあ着いた」


「ありがとうございます」


 そうして、累も秋も勘違いしたまま別れることになったのだった……

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