《第2章完結》青春とは。

無名の猫

第一章 始業式

第一話 俺の青春はワサビのように辛い。

 どもども、皆さん、初めまして。俺は青森 累と申す。どうぞ、お見知りおきを。

 ここは青翔高等学校せいしょうこうとうがっこうの入学式。

 そう、入学式。

 俺は今日ここに入学。

 第4の人生の幕開まくあけダァ!

 第1の人生、それは幼稚園入園から卒園まで。

 第2の人生、それは小学校入学から卒業まで。

 第3の人生、それは中学校入学から卒業まで、

 ということでやっと俺の青春が始まったぞぉ! 

 

         11ヶ月後


 嫌いやな思い出を思い出してしまった……

 これだからピカピカの一年生はきらいなんだよ。

 チッ……

 11ヶ月で何がどう変わるかって? いや、一週間ですべて変わったな……


「それもこれも全て、あのクソ先輩せんぱいの……」

「クソ先輩せんぱいが、どうしたの?」 


 俺が何なにか言いかけた事ことを、先輩に何か言われた。

 彼女は冬。寺田てらだ 冬先輩ふゆせんぱいだ。

 それよりここはどこだって? ここは生物部。もともとは理科室だったところを改造している為か少し薄暗うすぐらく、不気味な雰囲気が漂って居る。

 机つくえの上にはガスの元栓だの水道だのが沢山ある。

 ……話を戻そう。

 冬先輩はこの学校、青翔高校三大美少女せいしょうこうこうさんだいびしょうじょと謳われる程ほどの美人。

 と言うのもあり、『冬ファンクラ部』とか言うイかれた部活もある。

 でもなぁ、そろそろ冬先輩も卒業なんだよなぁ。

 それが俺の一つ目の悩み。

 べべべ、別に冬先輩の事好きって訳じゃ無いし? 好きじゃ無いし?

 

「クソ先輩以外に何も無いだろ。入学式から七日間3人のクソヤンキーに殴られ蹴られのいじめを受けたからなぁ。理由は『顔がいいから』。マジで意味がわからない。アイツらのせいで人間不信、コミュ症になったんだよ。クソが」

「そっかそっか……じゃあ、この冬姉ふゆねぇがナデナデしてあげよっか」


 そう言いながら、冬先輩はこちらに手を伸のばしてきたので、僕はそれを弾はじきながら言う。


「大丈夫。精神科のえっちぃ姉さんに沢山されてるから。お腹いっぱいなので」

「ちぇ。つまんないのー、可愛く無いぞー、モテないぞー、うい、うい」


 そう言いながら、冬先輩は人差し指でツン、ツンと俺の頬を押してくる。暑苦しい。

 かれこれ言ってるが、実際じっさい冬先輩にはお世話になっている。

 だけどさぁ、冬先輩彼氏いるし、リア充だし……

実際、まだ一緒に居いたい。

 今は3月。冬先輩が卒業するまで1ヶ月も無い。

 頼たのむ、逝かないでくれ。俺がぼっちになっちまう。

 

「そうだ! ルイルイ! そういえばね……」


 ルイルイは俺の名前から持って来ている。

 だがこれはまた今度の話になるだろう。


「ん? そういえば?」

 

 俺がそう尋ねると冬先輩はニコリと笑う。


「ううん、何でもない! そうだ! ルイルイ、おいで!」


 おいでってどう言う事?

 考え無しに冬先輩に近づく。

 

「ふふっ」


 そう笑い、冬先輩が俺に顔を近づける。

 と共に頬に柔らかい何かが当たった気がした。


「今のって……」


 もしかして俺、ファーストキッス取られちゃった? 取られちゃった⁉︎


「そ、チークキス」

「チークキスって頬と頬を合わせるあれ?」

「そうだよ?」

「それって浮気じゃね?」


 すると冬先輩は頬杖を付いて笑う。


「大丈夫だよぉそんぐらいぃ。バレなきゃ犯罪じゃ無いし、ルイルイとはそう言う関係じゃ無いし」

「まぁ、そうですけど」


 俺の頬にはまださっきのチークキスの感触が残って居る。

 ごめんなさい! 知らない冬先輩の彼氏さん!

 そう俺は手を合わせ、知らない冬先輩の彼氏に謝罪したのであった。


「どうしたの? ルイルイ」

「ううん、何でもない」


 すると冬先輩は「そっか」と微笑した。


        大体1ヶ月後


 今日は始業式。今日から俺は一人前の高2。厨二病ちゅうにびょうがあるのに高二病こうにびょうがないのはなぜかは未だに解明不能かいめいふのう

 んな事考えていると、大きな声が耳に入る。


「累のファンクラ部が出来たぞ!」


 は? 俺のファンクラ部?

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