第十四話 だけど伏川隼人は頑張りたい。
「いやどう言う事だよ、元チャラ男の隼人が学年委員長になるんだよ。どう言う風の吹き回し?」
「俺は……俺は千秋を見て心を打たれた」
は? 彼女との出会いの話ししてる? もしかして。誰も知りたくねぇよ、そんな話。
熱狂的な隼人ファンだったら需要あるか。でも彼女持ちでしょ? ファンになる奴居るの? 居ないでしょ、居ないだろう。居ないよね⁉︎
「それで?」
「最近な、千秋頑張ってるからさ。俺も何か頑張りたくてな」
「いやそんな気持ちでやる様なもんじゃないぞ? 学年委員。さらに委員長だなんて」
マジで政治家っぽい真面目な子しか居ないで? 学年委員長だなんてさ。そんなのには到底なれっこない。うん、無理。ヤ○チャが天下一武道会で勝つ位無理。そんぐらい無理って言うのはお分かり頂いたので後は隼人を説得……でも隼人、他人だったな。
俺には関係ない。
この前問題があった子の彼氏さんだ。よく考えたら赤の他人じゃないか。何で俺は話し掛けられてるんだ? なんで俺はそれに反応してるんだ? 本当にどうでも良い。人の事だなんて。
「でも、本当に頑張りたいんだ」
「いいよ、好きにしちゃって」
俺は隼人を突き放す様にそう告げると、隼人はニコッと笑った。なんで笑ってるのこの人、怖いんだけど。
「ありがとう! 元気貰ったよ! じゃあ、5.6時間目、頑張って来るね! 累も頑張れよ!」
「いや、俺委員会入んねぇよ?」
俺がそう言うが、隼人はどっかに行ってしまい、聞こえて居なかった様だ。
んだよ、仕方ねぇ。
……寝るか。
俺は頭を伏せ、また寝た。
*
「累、累!」
肩を揺さぶられたので、目が覚める。
外の声が聞こえたのに2秒、目が開くのに、5秒、焦点が合うのに26秒掛かった。
そして焦点があった今、よく周りを見てみた時に隣に隼人が居たのに気づいた。
「やっと起きた、大丈夫? 寝不足か?」
「いや、そんな事無いと思うけど、何で?」
「いやだって今、帰りのHRだよ?」
「早」
「お前が寝過ぎただけだよ」
「そうか……そうだな。初めて隼人に関心したわ」
「その言い方酷くない?」
「酷い? そんなのしらねぇよ。ありのままの率直な感想を言ってるだけだけど」
「辛辣ぅ〜」
「ふざけてんのか?」
「すみません」
「ならいい」
これが会話ってやつか。
「っあ後、学年委員長、なれたよ」
「は?」
*
隼人が学年委員長になって2週間が経過して居た。
隼人、頑張ってるなぁ。(本心)
隼人、早く別れないかなぁ。(本心かどうかは定かではない)
……で一仕事終わらせると、隼人は……っあ来た。
「累〜」
「今日も馴れ馴れしいな」
「今日は重大発表‼︎」
「くだらん話にはついていけん。ラノベ読むわ」
そして俺がラノベを出すと、隼人が全力で止めに来た。
「待て待て待て! 本当に、本当に!」
「仕方ない、一言だけ聞いてやるよ」
「OK、じゃ」
「OKって言った。はい終わり」
「酷くない⁉︎」
「酷くないって一言言ってたな。はい終わり」
隼人からかうの地味におもろい。じわる。
「体育祭が始まるぞぉ!」
「おい言って良いなんて……体育祭?」
俺が隼人に聞くと、隼人は少し嬉しそうになって言う。
「そう! 体育祭!」
マジか……体育祭、だるっ。
俺がハァハァため息を吐いていると、隼人ではない誰かに話しかけられる。
「おい、累」
「ん、誰」
俺が短く返事をすると、その子は直ぐに返答してくれた。
「私だよ、春下」
俺が上を見上げるとそこにはショートカット、茶髪だが毛先だけ青い、大きいおっぱ……ん゛ん゛。がある、春下心が居た。
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