第十八話 青森累は何処かで会いたいと思って居た。
「お前が『平和ですね』なんて言うからやボケ! まじてなにしとんねん!」
俺がそう言うと累花は少し困ったようにして言う。
「だって……本当に平和だから」
「『平和ですね』は特大フラグの初歩なんだぞ? マジで覚えとけ!」
俺と累花が話している中、教室を出るタイミングを見逃し、只扉の前に立って居る春下を除けばいつも通りの生物部が部室内で展開されて居る。
「わ、分かりました」
「そんなに真面目に受け取らなくてええよ」
「っはい」
その後、春下が帰り俺はラノベを、累花は生物部の生物達を見つめて今日の部活は終わった。
*
「えーっと、コレとコレとコレかな?」
夕暮れ、部活帰りにコンビニで買い食いを考えて居た俺。
そこで手に取ったのは11秒チャージと、カロリーメート。
……後、明日のパンケーキ用に
「んじゃコレお願いします」
いつも通り、俺にしか聞こえない声で店員に言う。
「11秒チャージとカロリーメートと蜂蜜ですね。3点で 1500円です」
高っ。
物価高怖ぇ。
そして俺は1500円を財布から取り出した時……
「あれ? ルイルイ?」
後ろから何やら懐かしい声が聞こえた。
そして俺が後ろを向いた時、彼女は列の一番前に立っている状態で俺に向かって手を振って居た。
そう、彼女の名は……
「冬、先輩」
そして冬先輩は俺と目が合うと、ニコッと笑った。
*
「ルイルイ、……はぁ、はぁ。奇遇だね……はぁ」
コンビニから出て30秒、冬先輩が後ろから話しかけてくる。
どうやら冬先輩は俺を追いかけて走って来たらしい。執着強、親の仇かよ。
走って来たのも合間って、冬先輩は少し息を切らしていた。
「うっす、1ヶ月ぶりですね」
「んんっ、んー、確かに。そうだね」
そして冬先輩と少し歩いていると、冬先輩が少し走って俺の目の前に来ると、冬先輩はこちらを向いて後ろ歩きで歩き出した。
「ルイルイ、きょーこれから空いてる?」
予定ねぇー。ねぇよ。
「いや、空いてるっちゃ空いてますけど……」
すると「パチン」と手を合わせる。
「じゃー決定! これからカラオケいこー!」
「待って、だったら金の確認を……」
そう言って財布を漁る俺。さーてさて何円入ってるかなぁ?
10000円3枚と1000円4枚……
「っある」
「じゃー行こ! すぐに行こう! お前に拒否権ねぇーからな!」
そう、生物部に拒否権など無かったのだった……
*
「ルイルイとカラオケッ、ルイルイとカラオケッランランラン」
冬先輩はルンルン気取りで歩道を歩く。
右を向けば
「そう言えば冬先輩、彼氏居るのにこんな事しちゃって良いんですか? 浮気ですよ?」
すると冬先輩は首を傾ける。
「そうだったっけ! っあー、そんな『設定』会ったねぇ、ルイルイ」
「えーと、その、設定ってどう言う事ですか?」
まず設定ってどう言う……
「そ、彼氏なんて存在しない! それに、冬先輩じゃなくて、「冬」って呼んで。あと、敬語も無しで」
敬語無しって言われたって……
「分かった、冬」
途端に両者共々顔を赤くする。
そして俺は下を向き、冬は上を向く。
「……ありがと」
上を向いて居た冬が此方に向いて話す。
「いや、お礼を言われる程の事なんて」
「ううん、ありがとう」
冬が首を振って言う。
何故だ? 俺は何も、何もしてないのに。
「ほ、ほら、ルイルイ。カラオケ着いたよ、早く行こ行こ」
「ん、そうだな、冬。入ろっか」
現在は5時、この後俺らが4時間歌うだなんて誰も予想出来なかった。
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