第四話 いつでも生物部は入部生徒を募集している。

 水野先生から言われた言葉は只一つ。

 

「放課後、特別棟で待ってる」


          *


 特別棟って言われても何処が何処なのかがさっぱりわからない。

 取り敢えず、今俺が居る東棟の昇降口に向かう。

 

         1分後


 昇降口に着いたので、俺は周りを見て見る。

 上履き、上履き。上履き上履き上履き上履き上履き……パンフレット。

 パンフレット⁉︎

 俺は学校案内のパンフレットを手に取って開く。

 この学校——青翔高校は上から見ると真四角になっており、真ん中に体育館がある。

 そして西棟から伸びた所に何かある。

 特別棟だ。

 え? 遠。

 体育館は部活が行われているので論外。

 遠回りをするしか無いのか……遠。

 し、仕方ない。遠回りするか。


         10分後


 特別棟に着くと、水野先生がスマホをいじりながら立っていた。

 待たせてしまい、スミマセン!


「遅い」

 

 それを言うきり水野先生は黙り込む。


「スミマセン……」

「やっと言ってくれたか。お前そんなんじゃ彼女出来ても絶対振られるぞ。彼女を10分も待たせる彼氏……最低だな。私だったら絶対振るな」


 そんな時は3時間前から予定場所に居るわ。

 俺は先生の話を聞いている間、ずっと思って今ことを今言う。


「そういえば、先生。彼氏いるんですか?」


 そう聞くと、水野先生は顔を赤くしながら言う。


「去年フラれた」

「本当に、スミマセン!」

「あん? 顎にブロー入れて気絶させるぞオラ」


 そう言いながら額に青い血管を浮き上げる。スミマセン! スミマセン、スミマ……

 

「もう良い。私に着いて来い」


 そう言いながら水野先生は、ポッケに手を突っ込みながら歩き出す。

 

「ここが生物部だ」


 そう言いながら指を指したのは『生物部』と書かれた紙が貼ってある椅子だった。


「ここが生物部? 椅子観察会じゃなくて?」

「そろそろ殴ってもいいか……?」

「スミマセン!」


 よく見ると、椅子の真横に扉があった。

 

 椅子の目の前に立つと水野先生は、息を大きく吸い出し、こう呟いた。


「累少年! ようこそ! 生物部へ!」


 俺は少しばかりビクッとした。

 だって急に大きな声出すかRa……


「フンッ!」

「ゴハァ」


 水野先生に鳩尾みぞおちを殴られたので、少しばかりうずくまる。

 

「ち、ちょっと……何故殴ったんです……か……?」

「あー。ちょっと少年が嫌そうな顔してたからその顔歪かおゆがませるために……」


 正に理不尽りふじんof Over the world⁉︎

 まさかの戦闘狂せんとうきょうだったとは、水野先生。

 とか思ってると水野先生が「私との会話は順調な様だな。よし」と言った。

 いやコレ強制的に言わされてる様なもんなんですけど⁉︎

 すると水野先生は生物部の扉を開ける。


「聞こえてましたよ先生、一部始終を。累少年、訴えれば勝てるよ」


 俺が教室に入った途端に、暗くてガサツな女子の声がした。

 うーん……誰なのか知らないけど、訴えようかな。

 水野先生は何事も無かったかの様に、話を始めた。


「……とー言うことで、今日だけ体験入部で来た累君です〜! 人見知りでおっちょこちょいだけど、仲良くしてね♪」

「え、ちょ、まって? そんなに先生僕の事……」

「あん?」


 ヤンキーの様な喋り方とギロリと見つめてくる瞳孔どうこうによって威嚇いかくされていた為口に出すのを辞めた。ってか、辞めさせられた。

 生物部ーー沢山生き物を飼ってる所。

 ……で、一番に目に入るのが魚。二番目に魚。三番目に魚。

 ヒトデも居るのに何故兎が居るんだよ。

 もう見た感じ水族館だった。


異議いぎあり」


 「訴えたら勝てる」と、俺に言ってくれた人が手を挙げながら言った。


「またいつもの様に見学だけして帰る奴じゃ無いんですか? この前なんてクソリアまで来てサァ。ブツブツブツ……」


 とかその子が言っていると、水野先生は明るく言い放った。


「大丈夫! 今回は当たりだから! 帰宅部ぼっちで非リアでコミュ症だから!」

「先生、酷ku…… 」

「あん?」

「何でもないです」

「っあ、そうだった! 入部届けは明日までにお願いね」


 俺に拒否権無いの? 嫌、あるだろ。


「無理……」

「無理無理とは言わせないぞ少年。おびに部費は無料タダだ。だから許せ」

「そそそ、そんなこと言われても……」


 これも運命さだめか。と思いつつ俺は生物部に入部したのだった。

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