神星ポラリスのDIVAー春星スピカー

美空 煌璃

⭐︎プロローグ⭐︎




この世界は中心にある1つの星と周りにある4つの星で均衡を保ちできている

夏星のベガとアルタイル、秋星のミラ、冬星のシリウス

そしてここは中心にある春星スピカ

それぞれの星で時代が流れ残酷で悲惨な戦いを乗り越え、今のような穏やかな毎日を人々は生きている


DIVAディーバは星々で存在しそれぞれで神の使いとして敬称を受け継ぐ

春星スピカにはアマテラス、夏星ベガとアルタイルにはイシスとハトル、秋星ミラにはセレーネ、冬星シリウスにはマリアムがいる


その者達は思いで魔法を使い気持ちを歌に乗せる

歌声は万物全ての心を安らげ奮い立たせ幸せに導く

天に届けば空は透き通り太陽は光り輝き、魔のものから世界を守り人々や星の安寧をもたらす


だが、DIVAは誰しもが成せる訳でもすぐに見つかる訳でもない

1つの星に1人しか生まれず、DIVAが亡くなると次はいつ何処で誕生するか分からない

DIVAは遺伝で受け継ぐものでもない

苦難を取り除き戦う意思や慈愛の心を持つ者に、それに持ち合わされた容姿や魔力を小さな命に宿される


しかしDIVA自身は自分を他の誰かと比べ違いに戸惑い、他人に蔑まれ悩み苦しみ大人になる

白い肌は死者のように見え、大きな瞳は魔物と比喩され、か弱い性格は利用され虐げられる

そんな状態から自分を見つめ自分の価値を知り開花するなんて、よほどの状況と決死の覚悟が必要だ


ある者は売られた見世物小屋で働き歌を歌った時、ある者は王宮に荷物運びをした時、ある者は魔物に襲われた時…

こうした奇跡を掴みDIVAになる者もいるのは確かだ

しかしそれは1つの星に3人配置される神官が、彼女達の開花した魔力を偶然感じたからだ

その為何処の誰かも分からず、星々の神官と王族は当ても無い人探しに困惑し奔走する

DIVAが見つからない星は魔のものに襲われ乗っ取られ、いずれ死にゆく運命だからだ


DIVA自身が自分の価値に気づき望むまで探しても見つからない

開花するまでは硬い殻に閉ざされ暗く湿った人生を歩く

自分をそれと気付かず人との違いに嘆き苦しみ、死を選ぶ者も多いであろう


事実今この星での平和はかれこれ300年ぶりになる



そしてこれは私がDIVAになり世界が平和になるまでのお話

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