第20話⭐︎平穏の終わり
こちらにズンズンと向かってくる男性に怖くなり、セイラは思わず眼鏡をしっかり掛け直し下を向く
そうすると隣から声がした
「あら、春日じゃないか。なんだいこんな所まで
私に用かい?」
とお婆さんは歩いてくる彼に話しかけた
“あぁ、なんだ!お婆さんのお知り合いなのね”
そう思い顔を上げると春日と呼ばれた男性はまだこちらを見ていた
目線を変えず彼女に話しかける
「
「え!?あぁ、彼女は図書館フレンドだ」
そう言ってセイラにちらっと目を向けニコッと笑った
“お婆さんは飛鳥さんってお名前なのね”
そう思っていると彼が襟を正し声を少し張り上げた
「300年、長らくお待ちしておりました…スピカのDIVA様」
そう言って腰に収めていた剣を
忠誠の証を示したのだ
「私は春星スピカ王国に属する神官の春日でございます」
そう私を見つめる彼の横で驚きで
「お嬢ちゃん…DIVA様だったのかい…
私はなんて失礼な事を…」
そうして同じ様に忠誠の証を示そうとする飛鳥を見て、突然の出来事で固まっていた体を慌てて動かし行為をとめる
「や、やめて下さい。こんな所で…
か、春日さんでしたか?あの…勘違いだとしても急に困ります」
そう言いながらセイラは手が震え心が
“なぜ…どうして急に…
多くの異国の本を読み、もしかしたら…と考えていた
でも、人違いであって欲しいとも思った
私はもう誰の言いなりにも玩具にもなりたくないのに…
やっと小さな幸せを見つけたの
ずっと彼の隣で幸せに笑って暮らせると思ったのに
どうすれば…”
「DIVA様に間違いありません
しっかりと貴方様から
ここでは何ですので…
是非、今から登城して頂ければと思います」
そう言って頭を下げる彼の後ろに、入口で見ていた王族の者であろう男性が立っていた
「そなたがこの国の300年待ち侘びたDIVAなのだな?
ずっとお目にかかりたかった」
そう言う彼に気付き春日が紹介する
「DIVA様、こちらはスピカ王国皇太子殿下の
「響坊ちゃんまでいらしていたのか」
そう言って顔を覗かせる飛鳥
「なんだ、朝から居ないと思ったらこんな所で油を売っておったのか…
父がえらく探していたぞ」
そう笑う彼は美しくまさしく王子様だとセイラは思った
響殿下はセイラを見つめ春日と同じ様な台詞を言う
「急をお願いしてすまないが是非、我が城へ同行して欲しい
そしてそなたの今までの話とこれからについて話がしたいのだ」
セイラは自分の状況を理解できず、目の前で起こっている出来事や入口から聞こえる民衆の声で、静かで居心地が良かった場所が一変し、平穏を乱される様だった
どうして良いか分からずポロポロ出てくる涙を止められない
気づくと外はザーザーと雨が降っていた
目でそれを確認し
“さっきまで晴れていたのに…”
と現実逃避の様にそう思っていた
見にくかった世界がすっと明ける
ビックリして窓を向いていた目線を前にやると、セイラの眼鏡を外しハンカチを差し出す響殿下の顔があった
「なんと…神秘的な…とても美しい…
もうそなたは顔を隠さなくて良い。我らがそなたを全力で守ろう」
そう言って微笑む彼を見てセイラは全てを荒らされた気がした
そうしていると図書館の入口から聞き覚えのある大きな声がした…
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