第19話⭐︎変化の知らせ
ハンターという仕事は皆が成りたがる職業ではない
山や海での狩りは危険が
また、とらえた獲物を
子供の頃は失った記憶の事もありこの職に就くと想像もしなかったが…
あのビーチで倒れていた俺が、唯一持っていたらしいリュックに年齢と名前が書かれた一枚の自分の写真と異国の文字の資料が入っていた
そこには簡単な読み方が書かれているぐらいで、いざ図書館などで調べようとしても文書を読むには余りに簡素な資料だった
数年に渡り幾つもの古書を読んだが自分への手がかりを見つけられなかった
もしかしたらこのスピカの何処かに本にはない歴史を知る者、または俺の顔に似た民族を見た者が居るかもしれない
そう思い町や村、山や海辺など色々な場所を訪れている時に手についた職業がハンターだった
俺には一人でいる事も、険しい山を歩く事も別に苦じゃなかった
逆に何故か懐かしさを感じる時もある…
だが、不思議なのはスピカのある場所から張られている強固な結界…
こんな結界を張れるのは
“ミラのDIVAだけ”
と本には書いていた…
調べる為に結界の周りを見回ってみたが、スピカには魔物が
出会ってきたスピカの民もその結界の事や神星ポラリス、そしてDIVAの必要性など余り知らない様に感じる
記憶からごっそり消えている様にも思う
そうして数年が過ぎ自分の記憶を取り戻す旅はいつ終わるのか…
もういっその事諦め、目の前にある手放したくない幸せを掴んでしまおうか…
そう悩み揺れ動く心を抑え込む日々が過ぎていくだけだった
ー§§§ー
「今日は山に行ってくる」
朝、セイラにそう話して家を出た
仕事用のピックアップトラックに道具と狩りに使う弓や槍を荷台に乗せ車を走らせる
行く道中に城の近くを通ると、何やら周辺の住人が騒ぐので耳を傾ける
「……が見つかったって」
「嘘だろ…あれは神話じゃないのか?」
「お前、違う星にはいるんだぞ」
「でも見た事ねぇしなぁ…」
「今さっき皇太子殿下が直々に探しに行くと、急ぎで車を走らせて行ったってよ」
そんな会話が聞こえ心臓がドクンと波打った
“そんなに慌てて…もしや…DIVAか!?
…ずっと会ってみたかった人物”
そう思い車を停めた
「おい!すまない。今その話を耳にしたんだが、その殿下が乗った車は何処に向かったんだ?」
会話していた若者にそう尋ねた
「あぁ、下町の方の国立図書館に向かえと神官が運転手に言うのを聞いた奴が居たみたいだぜ」
「そうか、ありがとう」
そう言って国立図書館の方へ車を急転回させ走らせた
“戻り方向だな…王国の車とすれ違わなかったから裏道を通ったのか…
待てよ…図書館ってセイラが居るんじゃないのか?
大騒ぎに巻き込まれて恐怖で固まってないといいが…”
そう思いアクセルを少し強めに踏んだ
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