第23話⭐︎命の恩人
セイラがそのまま眠りについてしまった為、
「とりあえずは後ほど…」
とその場を出た響と春日を見届け、10年以上前の自分が使っていた大きなベッドに運んだ
“あまりにも顔色が悪い…大きな変化が起こりすぎてやはり相当負担がかかったのだろう”
心配になり用心しておいた方がいいだろうと、いつもセイラのバッグに入っている予備の薬袋を出してベッドサイドに水と一緒に置いておく
“よし、一度久しい恩人に会いに行くか…”
そう決心し立ち上がった
部屋を出てすぐ目の前には大きな窓があり立派な薔薇が咲き誇る中庭が見える
“過去に戻ったかの様だ…何も変わっていないな…”
そう思いながらフッと笑みを
あの頃を確かめるかの様にゆっくりと足を前へやり、廊下に飾られている花瓶や美しく描かれている肖像画を見やる
ほとんど変わらない景色を見てどこか懐かしく優しい気持ちが
“ん?…あの当時こんな物は無かったな”
色褪せた写真立てを手に取ると、ソフトクリームを落として泣く響に、微笑みながら自分の物を渡すカムイが写った古い写真であった
「それはワシのお気に入りじゃ…よく戻ったのう、カムイ」
声の主を見ると記憶より少し歳老いた人がそこにいた
国の王であり響の父そして命の恩人でもある
「陛下…お久しぶりです。お元気でしたか?」
突然の再会に驚き他愛も無い事を口にしてしまった
陛下は少し悲しげな顔をして
“あぁ”と言う
「そなたも元気そうで何よりじゃ…魔力は見えても顔が見えぬのはやはり寂しいものだ
お主がこれまでに見てきた世界を是非聞きたいのう」
そう言ってカムイを通り過ぎ、立ち止まらずにどこかへ行ってしまった
“俺も少し休もう…”
そう思いセイラのいる部屋へ戻った
ー§§§ー
「只今戻りました、暁陛下」
図書館から車で戻った飛鳥はその足で陛下の元へ向かった
「えらくこき使われておるのう」
そう笑う陛下に飛鳥はムッとした
「全く、誰かさんとそっくりですよぉ
車で戻れと言うから外に出てみればカムイ殿の車もあるし…
放っておくわけにも行かず、久々に運転しましたわい」
そう不機嫌な飛鳥の文句を笑い飛ばす陛下に
「笑い事じゃないですよぉ」
とため息をついた
「じゃが、お主が慌ただしく動いておるのを見るのが懐かしくてのう…久々に女官の血が
お
「えぇ、それはとても楽しみですよぉ
ですが、セイラ嬢はまだDIVAになる事を受け入れておりません…まだ儀式も出来そうにありませんねぇ…
この件、私に任せてくれませんかねぇ
彼女と色々話してみたい事があるのです
図書館フレンドなのでねぇ」
「はっはっは。図書館フレンドとな
お主は変わらぬな…
飛鳥、そなたにDIVAのことは一任する」
「承りました
それと陛下、あの鍵をお借りしたいのです…彼女はスピカのDIVAを知りたがっている…
知れば良い方へ
王の間を出た飛鳥は休む間も無く城内の図書室へ向かった
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