第7話⭐︎消えぬ燈
「今、お婆さんの婚約者さんは…」
触れてはいけないのではないか…と思いながらも、あまりにも懐かしげに話すものだから気になり口に出してしまう
「闇に飲み込まれてそれっきりさ…
必ず戻ると約束し、40年もここに通って待ってると言っても10年経ちゃ嫌でも分かる…
でもこんな老ぼれになっても何処かで信じているから続けてしまうんだねぇ…」
お婆さんの小さな手にギュッと力が入るのを見つめながら、私は続きを聞けずにいた
“何故自分から闇の中に入ってしまったんだろう…
私が産まれた時にはもうスピカの半分は闇にのまれていた
いつからなのだろう…何故闇がそこにあるのだろう…”
気になる事が頭を
“確か古い書物にはあそこには地方都市があったと記述されていた…でも違う書物にはスラム街だったとも…”
頭でグルグル考えていると閉館のチャイムがなった
「いけない!もうこんな時間になってたの!?
お婆さんごめんなさい、私急がなくちゃ」
お婆さんの返事も聞かず飛び出した…
残された老婆は懐かしそうに異国文字の古書をなぞった
「貴方みたいにこれを読む人がいたなんてねぇ…目にしたらあの日みたいに喜ぶ顔が見れたかねぇ…
…私はまだ貴方をお待ちしていますよ…」
そう囁いて本を持ち上げると一枚の紙きれが落ちた
“DIVAの開花
と書かれていた
「あの子は何を探しているんだ…神官の秘密を知っているのは王族だけじゃ…」
彼女は何か良からぬ気がしてその紙を素早くポケットに入れた
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