第12話⭐︎嬉しそうな横顔
「セイラ、まだ体調は良くならないか?」
そう聞いて覗き込むカムイさんに自分がそのまま物思いにふけていたことに気がついた
「あの…いえ違うのです!つい考え事をしてしまって
セイラは元気ピンピンですよ!」
と元気よく腕を振ると勢いよく壁に手を打ちつけた
「あいたぁ!!!」
思わずそう叫ぶと少しビクッとしたカムイさんが声に出して笑う
「元気で何より。でも怪我をしたら次は病人になるぞ」
そうぶつけた手をとり怪我がないか確認して彼は続ける
「セイラが今日忙しくなければでいいのだが、少し王都の外へ出てみないか?」
「昨日ひと通り家事も調べ物も終わりましたので、今日は何もする事がないですが…何処かへ連れて行って下さるのですか?」
思わずキラキラと目を輝かせてしまう
「こうして一緒に出かける事を喜んでくれて俺も嬉しい
今日は海を見に行こうと思っている」
「海ってあの船が浮かぶ海ですか?
セイラはまだビーチとやらに行った事がないのですが、もしかしてビーチにも行かれますか?」
セイラは嬉しすぎて思わず
“ビーチが見たい”と言っている様な物言いに気づかなかった
「あぁ、場所はクリスタルビーチと呼ばれるビーチで
砂浜は白く波打つ海が輝き絶景と言われている場所だ」
「クリスタルビーチ……なんて素敵な名前でしょう」
そう今にも飛び出しそうな自分の体を落ち着かせ
“急いで準備をします!”と自室に走った
ー§§§ー
少しして自室から出てきた彼女は
青、黄、ピンクのパステルの糸で、小さく小鳥の刺繍が
「とても似合ってる。セイラは何でも似合うな」
そう言うと彼女は顔を赤らめ微笑む
「恥ずかしいのであまり見ないで下さい」
そう言って後ろを向いた
持ってきた大きめのバスケットに何やら詰め込んでいる
横からちらっと覗くとサンドイッチがあった
”お、それは“と言うと彼女が続けた
「カムイさんがお買い物の間にお腹を空かせているだろうと思い作っておきました
カムイさんの大好きなセイラ特製たっぷりキャベツサラダのジューシーハムサンドですよ」
そう言って目を合わせニコッと笑う
“海を見ながら食べましょう”
と言う彼女があまりにも楽しそうに笑うから
もっとこんな顔を見せて欲しいと、もっと色んな世界を見せてあげたいと心から思った
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