第3話⭐︎春星スピカの悲しきDIVA 2




竹之内は泣きながら話す優美に寄り添い話を聞いた

幸せと言えない人生を歩み、生きたいと思っていないであろう彼女の背中を落ち着くまでさすっていた

こんなにボロボロでも泣いていてもとても美しく整った顔立ちは、見た事もなくスピカ王国の者に見えない

優しく燈る優美の魔力は開花したばかりにも関わらず力強く見えていた

話し終えた優美にDIVAについて話し出した


「優美様…

先程、貴方様がDIVAであると言いましたが、貴方が狙われた理由もそこに…」


「DIVA…?ってなんですか?」

初めて聞く言葉のようで子供の様に教えを乞う瞳があった


「DIVAとはスピカだけでなく周りの星全てに存在する歌姫の事です。神の声を聞き万物の声を聞き歌に乗せて思いを伝え人々を平和な世界へ導く者

DIVAは私共の様に呪文や魔法陣を使わず思いや声で能力を使います

王族や神官である私達の魔力も国の中では相当強いですがDIVAが使える魔力には決して及びません」


信じられないという顔で聞いていた彼女の口が動いた


「では尚更私じゃないと思います…私の魔法は弱くて小さな火を起こすぐらいしか出来ないのです」

と少し悲しそうに笑って言う


「先程のお話で異国の言葉を何故か理解できたと仰いましたね?」

コクンと頷く彼女に続けた


「DIVAの能力は生を受けてから開花するまで強固な保身魔法によって封印されるのです

開花するきっかけは人それぞれで、それはまだ解明されていないのですが…

風や天候などの自然の神や全ての生き物がDIVAに仕えます。異国の言葉を理解出来たのはそれらが手助けしたのでしょう

万物全てがDIVAの歌に思いに喜び応えるのです

一度そこの窓で空へ向けて歌ってみせてください」


「ぇえ!?う…歌ですか?」

と、しどろもどろになりながらも恥ずかしそうに窓辺へ立つ彼女を見て

“やはり歌う事は好きなのであろう”と思った


彼女が小さな声で優しく切なく歌う声は澄み切っていて心にストンと入ってくる…


すると何処からかスズメや鳩が飛び交い一緒に歌っているかの様にさえずり出す

春の知らせを告げる蝶が舞い、彼女の髪に止まり揺れている

しまいには同僚である神官の高辻が勝手にここで飼っている猫、茶々丸が何処からかやってきて彼女の足に体を擦り寄せた


彼女は足の感触に少し驚き目を開けて笑い、窓から手を出すとスズメが止まり彼女を見ていた


「DIVA様これで信じていただけますか…」

彼女は小さな声で“ハイ”と答えた

その時この瞬間を待ってたかの様に空は青く澄み渡り雲の後ろに隠れていた太陽が顔を出す


やっとこの星にも平和がやってくる…そう思った

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