第1話⭐︎スピカの希少な命
今はセイラが生まれるずっと昔330年前
暗く活気もない街外れ、隙間風が通り抜けるボロボロの木の家
医師に診て貰えるお金もなく1人苦しむ若き女がそこにいた
家の周りには浮浪者や物乞い、餓死した者もいるだろう
「もうちょっと…もうちょっとだよ…貴方に見せたかったなあ…貴方ならなんて名前つけたかなあ…」
頬を伝うのは涙か汗かもうわからない
ここで苦しんで何時間経っただろうか
「最後の一踏ん張りだね…」
息も絶え絶えで気が遠のきそうになるが何としても一目会いたいのだ
おんぼろの家屋の屋根の隙間から空に輝く星を見つめ意気込んだ
声にならない様な雄叫びと共に命懸けで力を入れた
10ヶ月以上共にした我が子を抱き上げ、遠のく意識の中泣き声を聞いた
「産まれた…貴方、産まれたよ…貴方と私の唯一の宝物…
名前は貴方の一文字を取って“
…いい名前だろう
そう呟くと1枚の写真と赤子を抱きしめ意識を手放した
さっきまで泣いていた優美はぼやけた目で母を見つめ眠りについた
こうしてここに1人のDIVAが産まれた
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