第10話⭐︎囚われる心2




また同じ夢だ

ううん、違う…夢じゃない…



いつもそうだ…

激しく胸騒ぎを覚え、色んな考えが頭を駆け巡っても出てくるものは涙しかない


“まただ、また………私はどうすればいい?

どうすれば許してくれるの?…なんて言おう”


「あの、…ご…ごめんなさい」


『うるさいうるさいうるさい!!お前がこうさせるんだ!お前が…お前が居なけりゃ…』


何度も見た…知ってるわ…

そう言った後いつも泣き出すのよね…


『私は化け物みたいなお前なんて初めからいらなかったんだ!なのにお前はいつもそうだいつも私を除け者にして…私の幸せを壊したんだ!!!」


「ごめんなさい…ごめんなさい……許してください

………お母さん…」


「目の前から消えろ!!!今すぐ出ていけぇぇ!!!」


私は前が歪み見えなくてもその場を走り出した

いつもの秘密基地

暗くて賑わいのないここは隠れるのに丁度いい


“私はどうしてここに産まれちゃったんだろ

私じゃ無かったらお母さんは毎日抱きしめてくれたかなぁ…”

そう思いながらグッと力を入れて握りしめていた手を開きまた泣き始めた


手の平が黒くなってる…ああ、ここに来る途中にこけて擦りむいたんだ…

私の手はこんなにも小さかったんだなぁ




そこで意識は途切れ気づいたらカムイさんの腕の中で泣いていた

私を心配そうに覗きながら優しく包むゴツゴツした手はとても暖かくて落ち着く


「カムイさん…ごめんなさい…またご迷惑を…」


そう伝えてカムイさんの服を握っていた手をはなし手の平を確認すると、白くて先程見たものより大きかった

そして優しく触れる大きな手を握り意識を手放した…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る