第17話⭐︎気づく思い




「カムイさん、またこうして連れて行ってくださいね」

助手席でそう笑うセイラは幸せそうだった

その表情が可愛いくて、ついイタズラ心に少し火がついてしまう


「セイラが今日のことをデートと言ってくれるなら、また行こう“デート”に」

わざと意識させる様に強調して伝えると彼女はワタワタと“デート”の確認をしてくる


「デ、デデ…デートとはあの、お付き合いなさる皆さんがするデートの事ですか?」


「ああ、そのデートだ」

と彼女に言うと何やら口をパクパクとし、イタズラに笑う俺と目があった


「あぁ!その顔!カムイさん絶対に揶揄からかいましたね!!!」

そう膨れるセイラを見て声を出して笑った


そんな他愛もない話をしながら帰路きろへ着いた



ー§§§ー



ーその日の夜ー



初めて見るビーチは想像よりも遥かに綺麗でセイラの宝物となった


「折角ならカメラを持って行って撮ればよかったなぁ」

そう口に出しテーブルに置いてあるポラロイドカメラを見た


「また連れて行ってもらおう…デー…

って、ちょっと!何言おうとしてるの!?」

一人で赤くなり枕で顔を隠し続きを言うのを辞めた


“カムイさんとデートかぁ

…きっとカムイさんに私は子供に見えてるよね…

あの柊さんのお孫さんの様に綺麗だったら、私の事も女性として見てくれたかな。あの人綺麗だったなぁ…

カムイさんの事が好きなのかなぁ…”


そう思い幼い自分に悲しくなる



窓辺に立ち暗い外を見た

夜鳥の声と奏で合う虫の音

空に光る1つの星を見つめた

昼間からときめいてうるさい心臓をギュッと抑え、歌うもの達に応える様にセイラも小さく歌った

月が見えない今夜は心なしか星がより輝いた様に見えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る