エピローグ

 ここが『新しい世界』なのか、どうかはわからない。よほど特別な人物を『アレ』が狙わない限りは、世界全体を見て変化など無いに等しい。

 起こる変化は限定的で、範囲も狭い。

 だからと言って、どうでも良いと僕は思わない。

 どうせなら、1人でも多く幸せになった方が、良いに決まっているから。

 ふと、あの女の子の姿が頭に浮かぶ。

 元気でやっているだろうか。

「また会えるかな」

 前回の『アレ』は弱くて助かった。毎度、あれくらい弱ければ、余裕なのだけれど。

 いつもは命がけだと知ったら、彼女はどう思うだろうか?

 想像すると、笑えてきた。


 いきなりコメカミの後ろから、トゲの刺さったような感覚が襲ってくる。

『アレ』が近くへ来たのだ。

 ということは『別の世界』へ来ることには、成功したらしい。

 さて、今度はどんな人がターゲットにされたのか。その人物の近くで、次の『選択の時』を待たなくてはならない。

 バリ、バリバリッ!!

「えっ?」

 いきなり50メートルほど先の空間に、大きくヒビが入った。

「やれやれ。どうやら、いきなりのバトルらしい」

 とんでもなく厄介そうな状況なのに、なぜか笑みが浮かんできた。

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それは決して不幸ではなく 元橋ヒロミ @gyakuryu

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