それは決して不幸ではなく
元橋ヒロミ
プロローグ
『エネルギー保存の法則』というものがある。
たしか『孤立したエネルギーの総量は変化しない』というようなものだ。
これを講義で聞いたとき、脳内をとてつもない衝撃が走った。
僕は、とんでもない事実を知ってしまったのではないだろうかと。
『エネルギー保存の法則』は地球規模……いや、宇宙規模で成り立つのではないだろうか。
だとしたら『偶然』や『運命』と呼ばれているものも、これに属するかもしれない。
そこに『幸せ』とか『不幸』という感情の入る余地はないだろう。
『エネルギー保存の法則』は現象であり、感情の入る余地はないのだから。
コメカミの後ろに、トゲの刺さったような感覚。
『アレ』が来たのだとわかった。
『こちら側』へ来たのだ。
だが、来たとわかった時には、もう『2つの融合』は終わってしまっている。犠牲者の近くで、次の『選択の時』を待つしかない。
問題は、犠牲者が誰なのか探さなければならないことだ。
近づけば、まだ匂いは残っているだろう。
僕も所詮は『こちら側』の人間だ。どう頑張っても『あちら側』へは行けないし、見る事も出来ない。
強引な手段を使うしかないかと、思い始めた時だった。
「やめて! どういうつもりよ!」
若い女性の声がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます