第30話 出発

次の日の朝。

カイ「うし、無事に目覚められたな」

アリ「そろそろ周りも騒がしくなる頃合いだぜ」

その日の朝は少し騒がしかった。

アーダム財団が放送を小さな町に流していた。

アーダム財団の放送「皆さん、健やかな朝におはようございます。」

ゾンカ語で流れている放送を翻訳機に読み取らせるアリ。

そのあとに日本語音声で流れる。

アーダム財団の放送「我々が提供する商品はいかがでしょう。使い勝手がよろしいことだと思われます。しかし、先日この平和な村に5匹の迷い豚がいるようです。それは非常に厄介な豚であり、平和な村に不幸を呼び寄せるでしょう」

カイ「ちっ好き勝手言いやがって」


アーダム財団の放送「そのもの達を捕まえれば、我々の電子通貨マイルコインを100コイン差し上げましょう。(1マイルコイン 1952円)」

アリ「すでに電子通貨もあり、世界で流通しているらしいな。しかも100マイルだと...日本円で20万くらいだ...」

カイ「この町なら十分大金だろうね。でも民族的にお金はさほど重要そうではない感じだが....」

アーダム財団の放送「近年、カイマン病が流行っています。その者達を捕まえれば抗生物質を大量に渡しましょう。」

アリ「そうきたか、奴ら財団は病気も研究してて噂では実験で人に試してるだとか。この村でも未知の病の話を聞いたがそれが(カイマン病)濃厚かもな」

アーダム財団の放送「その者達の場所は、ティンプーにあるタルパタという民宿施設です。では、我々の元に連れ戻してください」

外が騒がしくなった。


村の住民「བརྡ་བརྒྱུད་ནང་ལུ་ཡོད་པའི་ཟ་ཁང་འདི་ཨིན་ན?(放送で言っていたホテルはここか!)」

村の住民2「ངེས་པར་དུ་འདིར་ཡོད། ནོ་རི་ཀོ་མེ! !(ここに間違いない!乗り込め!!)」

カイ「おい、起きろそこのゴリラ」

リョー「ん、んが。もう朝か。なんだか外が騒がしい気が...」

カイ「寝ぼけてないですぐ部屋から出るぞ」

リョー「ふえ、なんで?」

扉がドンドンと叩かれた。

扉の向こうから村人達の叫び声が聞こえた。

リョー「なんか、物騒なことになってきたぞ、これはどういうことだ?」

アリ「そういうこと、ほら逃げるぞ」

アリは窓を開けてワイヤーフックで数m離れた地面に突き刺した。

ワイヤーは地面からピンッと張りアリとカイはフックで滑って地面に向かった。

リョー「ちょ、ちょっと待ってくれよ!サキさんとリンさんは!?」

サキとリンはすでにワイヤーフックが刺さった地面付近に待機していた。

アリとカイは華麗に地面に着地した。

サキ「手際がいいことで」

カイ「おかげさまでね、とにかく逃げるぞ」

4人はリョーを置いて逃げようとした。

リョー「ちょっ待ってくれよ!置いてかないでよ!!」


すると、扉がバンッ!!と開いた。

村人達がリョーに襲いかかる。

リョーは掴みかかる村人達をはね除け机に置いてあるフックを持ちワイヤーに引っ掻けた。

ギィィィィンッと音をたてながら滑った。

リョーは地面に転がりながら着地した。

リョー「いたた、なんで置いてくんだよ!」

カイ「リョーの力なら余裕だろ、もし無理なら遠隔のドローンで援護する予定だったかな」

リョーは安堵したような顔をした。

アリ「早く、こっちにこい2人とも!!」

裏路地に隠してあったSUVに乗り込んだ。

サキ「早く出して!追手が!!」

リョー「わってる!!飛ばすぞ!!」

車はいきよいよく小さなマーケットを吹き飛ばしながら発進した。

リョー「ごめんよー、お店のひと!!」

さらにアクセルを強く踏むリョー。

サキ「ちょ!とばしすぎ!怖いんですけど!!」

リョー「ご、ごめん!!」

リョーはおもいっきりブレーキを踏んだ。

タイヤはギャンッ!ギャンッ!と音を立てた。

カイ「バカかお前!加減ていうのをしらんのか!!アホゴリラ!!」

リョー「ひ、ひぃぃいん!ごめんよーーー!!!」

助手席にいたカイはリョーを助手席に引っ張った。

カイ「どけ!俺が運転する!」

アリ「おいおい、追手が迫ってきてるぞ!!」

カイは爽快に発進した。


小さな木々を撥ね飛ばしながら徐々にスピードをあげた。

後ろには複数のアーダム財団らしき車が追いかけていた。

途中、ヘリも上空に堆積をしていた。

リョー「おいおい、絶対別明だ!!」

カイ「うるせぇ!お前は黙ってろ!!アリ上にいるハエをハッキングしろ!!」

アリ「あいよ、ノイズハックくらいしか多分無理だけどやってみる価値ありかな!」

アリは揺れ動く車の中でパソコンを操作した。

アリ「よし、ここをこうしてノイズ発信と」

エンターキーをカタっと押した。

すると、ヘリの操縦士が耳を痛めながら操縦が不安定になった。

ヘリは減速をしてそのまま山の奥に消えてった。

アリ「お次は車だな。事前にいくつかのポイントを送るからカイ見てくれ」

カイ「おし、ならこの町をまたぐCポイントに向かう」

アリ「OK、ちゃちゃっと向かってくれ」

追手の追跡を振りほどきながらCポイントに向かった一向。

そして、門があり、周りに町々が見えた。

SUVが門を通ったタイミングでアリがエンターキーを押した。

門は閉まり始めて追手達は旋回しながら追いかけるが、一台だけその門を突破した。

アリ「よっしゃ!こっから手荒だぜ!!」

アリは自作のクロスボウガンを取り出した。


クロスボウガンに矢を詰めて、追手のタイヤ目掛けて発射した。

タイヤは見事にパンクをした。

アリ「よし!お次!」

隣のタイヤも矢を放ちパンクさせた。

車は回転しながら動きを止めた。

一向はなんとか検問を突破した。






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