第9話 最愛の妹
カイはあるところに向かった。
施設にいる妹だ。
ガラガラッ (引き戸の音)
アイナ「お兄ちゃん!久しぶりだね!」
カイ「お、お前それ。他の器具はどうした?」
アイナ「え?お父さんにこれに変えてみろって言われてよ」
カイ「どうしてだ!!それは危険なんだ。お兄ちゃんが作った物じゃないと...」
アイナ「どうしたの?ほらこの通り、元気だよ?しかも、動きやすい!」
カイ「そうじゃないよ!あの時約束したじゃないか!お兄ちゃん以外に交換を進められたら断るようにって...」
アイナ「でも、お父さんがあんなに真剣に勧めるからつい」
カイの心の声「あの糞じじい」
カイ「とにかく分かった。しばらく待ってて。いつになるか分からないけど必ず助ける」
アイナ「え?何を?まぁ、ありがとうね」
カイは部屋を出た。
アイナ「ちょっとお兄ちゃん!どこ行くの!せっかく会えたのに!お兄ちゃん!」
カイは少し涙を流した。
久しぶりな涙だ。
あんな男の元で管理されているチップなど危険すぎる。
カイはすぐにアリに電話した。
カイ「アリ、妹が取り込まれた。それと施設内の全員が恐らくあのチップを使っている」
アリ「そうかい、それは気の毒だな。そうだ、さっき情報を入手した。奴ら中国に進出して大規模な人口改良計画が立てられた」
カイ「中国か、たしかに進出しやすい」
アリ「恐らく急速なスピードで浸透するとは思う。以前東南アジアは反対派が多くバチバチな関係だがな、アメリカは中立。フランスやイギリスなどは猛反対の動きがでている」
カイ「その間に別のチップ、あるいは周波数で止められる機械を作りたい。アリ研究所の穴場と職員リスト、それから経路図だ。頼めるか?」
アリ「任せとけ相棒」
カイは多額のお金を使い材料を集めた。
その方法は、田舎で民装の低い土方を選んだ。
最初は怖い雰囲気だったが通い続ける度に心を開いていった。
足がつかないように複数人に誘いそれぞれが1000万+材料費と交通費を合わせてお願いをした。
職人の人は最初は怖いが仲良くなれば信頼もあり扱いやすい人だった。
裏切りもなさそうだ。
カイはとにかく怪しまれないように小細工をした。
まだ、セキュリティの低い民間の病院で入院することにしていた。
そっくりさんを雇い最新のボイスチェンジを使い本人に見立てた。
土方の人達を見送り1ヶ月間で成し遂げた。
研究所で下準備をした。
カメラのハッキング、それから扉のハック。職員出勤リストの改ざん、それから設計図の作成。
そして受け取りの日になった。
羽田空港に向かい裏ロッジの人気のないところに待ち合わせにした。
事前に周囲のカメラ、警備員の出勤を改ざんしての行動だ。
土方達が集まった。
それぞれがインドやアメリカ、タイに向かって材料を買ってきた。
それぞれが非常に重く一気に持てなかった。
土方達にお小遣いを渡し指定のポイントまで運ぶように伝えた。
プルルルプルルルガチャッ
カイ「アイ、きたか?」
アイ「ああ、お待たせ」
アイが車で迎えにきた。
カイ「土方さん達、この車に積んでください」
土方達は一斉に車に積んだ。
カイ「今までご丁寧にありがとうございます。危険なところにも行った人もいて本当にご協力感謝致します。これお礼のチップカードです」
それぞれに500万を渡した。
カイとアリはすぐに車を出した。
土方達「兄ちゃん、きいつけてなー」
土方「俺たち、ようやりましたな。でもあの少年らなにかこう大きな事に立ち向かおうとしてる感じやな」
土方「全く、ほっとけませんでしたわ。あの真剣な瞳」
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