第5話 提案

父さんの会社に向かった。

名前は「オアシス人工医療センター株式会社」

日本では、近年有数の名のある企業に名乗りをあげたのだ。

その、人工チップ(フォーム@フォーカス)により脳の病気や身体の病気を制御し健常者と同じように生活を送れる医療を提供している。

その会社が今ゲームを作ろうとしている。

カイ「父さん、正気か?僕が開発に協力しろと言うのか」

カイの父「ああ、そうだ。実はあるお偉い方が莫大の資金を提供して我々と手を組む話もある」

カイ「怪しいだろそれ、大丈夫なのか」

カイの父「とにかく、信じるしかない。うちの会社の名誉もかかってる」

カイ「なにいってんだよ!俺との約束忘れたのか!危険な開発だよ」

カイの父「とにかく話だけでも聞いてくれ」


カイは父さんのスーパーカーに乗りながら会社に向かった。

会社に着き、従業員が一斉に挨拶を交わしてくれた。

従業員「お早うございます。社長。カイ様、お待ちしていました」

まるで自分を待っていたかのような挨拶を交わした。

カイの父「おはよう、こちらうちの息子だ。仲良くしてやってくれ」

軽く挨拶を済ませ社長室に足を運んだ。

エレベーターで8階まで上がり降りた時に不意に後ろから声をかけられた。

??「やぁ、おはよう諸君」

カイの父「お早うございます。カイ、こちら友人でもあり資金の提供者でもあるリム社長だ。ご挨拶しなさい」

カイ「お、お早うございます」

リム社長「初めまして、数々の経営者でもありアーダム財団の代表者でもあります」

カイ「ご丁寧に自己紹介どうも」

リム社長「質素な返しがお父さんそっくりだな~ははは。さすがレマ社長の息子ですな。さてさて折り入って話は会議室で話そうか。高級茶菓子を用意して待ってるよ」

リム社長は会議室に向かった。


カイ「父さん本当に大丈夫なの?なにか弱みを握られてないのか?」

カイの父「ふぇ、いやなにもないよ。それより会議室に行け。父さんもすぐに行く」

カイは会議室に足を運んだ。

会議室に入るとリム社長は真ん中に大きく座っていた。

リム社長「座りたまえ、彼に茶菓子を用意したまえ」

カイ「単刀直入に言うが何が目的だ」

リム社長の眉間がピクついたのがわかった。

リム社長「ははは、最近の若い子は話が早くて助かる。私はレマ社長とは長く仲良くやらせて貰ってるよ」

カイ「それは嘘だな、ぎこちがないし弱みを握られている感じがある。それに勝手にゲームの話を持ってきてたがここは医療専門の会社ですよ」

リム社長「それはわかっておる。だからこうして君の父さんが作ったシステムに惚れてなにか他に役立てないかクラウドファンディングのような形で資金を提供しているんじゃないか」

カイ「どうかな、あなたの考えてることはもっと深くにあると思いますけど。父さんは上手く言いくるめても僕は断固拒否します」

リム社長「それは残念だ。父さんも悲しむ。私は君の実力を一生遊んで暮らせるお金で契約を結ぶというのに」

カイ「他にいるだろう、なぜ僕なんだ」

リム社長「君のお父さんに聞いている。幼少期に興味本位でお友達が喋れない病気をシステムで治したと。あの時は医療系の電極を借りたたかなんかで自分で組み立てて作ったらしいな。そのシステムを元に改良を重ねて作ったってことだ」

カイ「幼少期の頃なんかあんまり覚えていない。だから頼まれてもやれない」


リム社長「君のは素晴らしい才能を持っている。神に近い存在だ。私なんかが本来話せるような身分じゃない...」

ガチャッ 扉が空いた。

カイの父「お待たせしました。もうお話はされましたか」

リム社長「ええ、今は頼んでいるところです」

カイ「僕は絶対にやらないね」

カイの父「頼む!今まで父親らしいことなにもしてやれなかったけど!未来のためなんだ!この通り!」

父は息子の前で土下座をした。

リム社長も立ち上がり深く頭を下げた。

カイの父とリム社長「この通り!!」

しばらく沈黙が続いた。

カイ「分かりました、協力しますから2人とも頭を上げてください」

カイの父「本当にありがとう」

父は珍しく涙を流していた。

リム社長がニヤって笑みを浮かべた。

リム社長「その決断こそが未来を背負う若者の意志です!本当に立派だ。そして本当にありがとうございます。ご協力感謝致します」


リム社長「カイ殿、追って開発の計画をお伝えします。大学の方にも理由は伝えてありますので御心配なく。卒業は問題なくできます」

カイ「ちょ、話が早いな」

リム社長「この時を待ち望んでいました。世間も許してくださる。ちなみにこの会話は録音してありますのでお見知りおきを、では失礼します」

カイの父「カイ、少し疲れたろ家に送るよ」


カイの父とカイの間に大きな壁ができた。

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