第6話 仕事内容
あれ以来から父と話さなくなった。
ぎこちなく家族の雰囲気が悪くなっていった。
カイの父「あ、おはようカイ...」
カイ「...」
カイの母「もう、いつまで喧嘩してるの!ほら昼ごはん持って!」
カイは颯爽と家を飛び出した。
カイの母「ちょっと!なんなのよもう。あんたもなんか言ってやりなさいよ!」
カイの父は黙り込んだ。
カイは学校に行く途中に医療施設に向かった。
障害を持った子供達や孤児の子達を保護している総合医療センターだ。
カイは施設の人に挨拶をしてある部屋に向かった。
しばらく歩くと「アイナちゃんと部屋名が書かれている」
引戸扉を開けた。
部屋は女の子らしいおしゃれな部屋だ。
カイ「アイナ、お土産買ってきたよ」
アイナ「お兄ちゃん!ありがとう!」
アイナは妹で脳の障害を持って生まれた子だ。病名は重度のパーキンソン病だった。だけどシステムのおかげで普通に生活を送れている。
皮肉なことに研究対象だから家に引き戻すこともできなかった。
カイ「お兄ちゃんな、今日課題の発表があるから慰めてくれよ」
アイナ「ええー、じゃあおいで。でもチョコ食べてからね」
アイナの好物のチョコレート。アイナは口いっぱいにチョコを詰め込んだ。
アイナ「んんー、美味しい!お兄ちゃんありがとう!」
カイは黙って頭をアイナに傾けた。
アイナはカイの頭をよしよしと撫でた。
アイナ「お兄ちゃんがんばれー、がんばれーファイトだよぅ~」
アイナはカイの頭を胸に抱き寄せた。
カイの心の声「胸が当たってる、しかも少し大きくなった?」
カイはされるがままに頭を撫でられた。
アイナ「ほら、学校遅刻しちゃうから早くいきな!」
カイ「んんー、もう少し居たい」
アイナ「また、夕方くればいいでしょ!ほら行った行った!」
アイナは目鼻立ちが綺麗で母さんそっくりだった。
アイナは抱き寄せていた頭を離した。
アイナ「行ってらっしゃい、お兄ちゃん!」
カイはむすっとした顔で部屋を出た。
カイ「しゃあ、頑張るか」ボソッと答えた。
学校に着き早速アリと会話を交わした。
カイ「進捗はどうだ」
アリ「今のところ怪しい点はなし、そのアーダム財団のリム社長だっけか様々ジャンルの株主でもあるんだよ。ゲーム業界や芸能業界、更に医療業界にも会社がある。どれもこれと言って普通だし怪しくはないな」
カイ「そうか、とりあえず相手の懐に入ってみるよ」
アリ「おまえ、すぐ人を怒らせるからなー」
カイ「うっさいっての、生意気が丁度いいんだよ」
アイ「はいはい、今の若者って感じだな」
カイ「明日開発の提案がある、とりあえず盗聴機を仕掛けとくから。この前盗聴したけどバレなかったから今回も行けそうだけど」
アイ「気を付けろよ」
学校が終わり家に帰った。
カイは明日のために盗聴機を準備して早めに寝た。
朝起きると父さんが待っていた。
カイの父「おはよう、カイ。準備できたらいくぞ」
カイ「うん」
カイの母「ちょっと急に大丈夫なの?昨日いきなりカイが仕事を任されるって話を聞いてビックリしたじゃない」
カイの父「俺も最初はビックリしたよ、でも大学の方は大丈夫だしそれにカイだって自分の成長のために実績作りのためだからな」
カイの母「大丈夫かしら、カイ辛くなったらすぐ戻ってきなよ。仕事なんて卒業してからさせればいいのに...」
カイ「ありがとう母さん」
カイは父さんのスーパーカーに乗った。
カイの父も運転席に座りグォォウンッ!!とエンジンを鳴らした。
カイの母が僕達を見届けていた。どこか凄く不安そうで妹のアイナと同じ顔をしていた。
アイナも不安そうな顔をしていた。昨日は学校が終わった後に少し寄って話をした。その時も温かく抱き寄せてくれた。
しばらく早いスピードで流れていくいつもの街並みを見ていると。
カイの父「着いたぞ」
カイの父の会社に着いた。
カイの父「話が終わったら自分のスーツ買いにいこうな」
カイ「...」
カイは父さんに借りたスーツをきていた。
二人は従業員に挨拶を済ませ10階に行った。
そこには大きな会議室がありたくさんの人が集まっていた。
ゲーム業界や医療業界の偉い人達が集まっていた。
それぞれがこの会社のシステムと契約を交わしていき開発を進めるという段階だ。
カイの父とカイは会議室に入った。
そこには大勢の方の拍手と共に歓迎された。
真ん中にカイの父、隣にリム社長が座った。
右側の端の席にカイが座った。
カイの父「皆様おはようございます。本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。皆様と有意義なお時間になるよう心よりお祈り致します。それでは早速ゲーム業界のお話からさせて頂きます。先々月、脳内型没入ゲーム「NEW WORLD」のゲーム器ですが問題なく今月から試作段階を得て来月辺りに発売の予定です」
カイの心の声「やけに早いな、最低でも1年以上はかかるのに」
カイの父は続けて「これもリム社長のおかげです。媒体も出来ていて移植で済み問題なくゲームもできる段階にありました。彼の熱意と努力に拍手!」
会議室が大きな拍手に包まれた。
カイの心の声「それにしても早すぎるだろ、まるで想定されたような作りっぷり。アリはどう思うだろうか」
カイの父は続けて「そこで今回様々な企業様と私のシステムを掛け合わせた商品を世の中に提供しようという心構えでございます。皆様、ご協力の程をよろしくお願い致します」
他の企業の社長「いやいや、とんでもないです。これほど素晴らしい技術をお持ちでNOとは言えません。むしろyesでぜひご協力をしたいです」
リム社長が口を開いた「横から失礼します。本日はお集まり頂きありがとうございます。ご存知の通り私が株主の企業様が何社も集まって頂きありがとうございます。そこで今回私からの提案で「フォーム@フォーカス」を使った新たな技術を生み出したくて提案致します」
会議室がざわついた。
リム社長「内容は人類の進化を伴う素晴らしい内容です。すでに大まかな設計図は完成しています。従来のシステムではチップの他に電極や邪魔なキットもあり扱いずらいです。しかし、これをチップのみに制御して人間らしい姿にします。」
会議室が更にざわついた。
リム社長「静粛に!すでにお隣にいるレマ社長とは合意済みです。そしてその開発を行うのが今右端にいる若き青年!レマ社長の息子です!!」
会議室が更に更にざわついた。
リム社長「彼はプログラムに対する熱意が熱くそれは人類を驚愕するほどの才能を持っています。幼い頃に「フォーム@フォーカス」の元になったシステムを作ったとお父様(レマ社長)からお聞きしています。これは人類の進歩です!!皆様ご協力をお願い致します。カイくんもご協力をお願いします」
他の企業の社長「完成させたレマ社長も凄いですが、息子さんも物凄いですね!これは本当に世界的いや人類初の開発になると思います!!」
会議室が拍手喝采になった。
リム社長「では早速、カイくんそこに置いてある契約書にサインをお願いします」
カイはしばらく黙り込んだ。
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