第27話 次の作戦


 「あれの進行状況はどうなっている?」



サーペントが部下Cに問いかける。



 「滞りなく進んでいます。いずれ良い報告をお届けできると思います」


 「さすが白大蛇部隊だな。これで前回の失態もチャラにしてやろう」


 「ありがとうございます。ホワイトスネーク隊長も一安心していると思います」


 「ところで、お前の右腕に付けている金の腕輪はどこで入手したのだ?」


 「それは・・・秘密です」



 部下Cは空から金の腕輪が降ってきたとは言えなかった。


 「そうか・・・なにか事情があるのだな。しかし、その太陽のような眩しい輝きは、王家で作られる純金製の腕輪のようだな。少し見せてくれないか」


 「どうぞ」


 

 部下Cは金の腕輪をサーペントに渡す。



 「これは!」


 「サーペント様、この金の腕輪をご存じなのでしょうか?」


 「間違いない。これは、国王陛下からダンディライオン家に渡した金の腕輪だ。フフフ、さすがホワイトスネークだな」


 「どういう事でしょうか?」


 「その金の腕輪はホワイトスネークから渡されたのだろ?」


 「それは秘密です」


 

 部下Cは状況が読み取れないので『いいえ』とは言えなかった。



 「隠さなくても良い。作戦は半分成功したと言えるだろう。俺はダンディライオン家の娘を誘拐するのが難しいのなら、金の腕輪を盗んで来いと命令を出した。ホワイトスネークは、俺の指示通りに金の腕輪を盗むのに成功してお前に託したようだな」


 「そ・・・そうです」



 部下Cは慌てて返事をする。



 「俺を試すような事をするとはいい度胸だな!」


 「申し訳ありません。すべてホワイトスネーク隊長の指示でございます」



 部下Cは責任をホワイトスネークに押し付ける。



 「いや、面白い余興だった。俺は怒っていないぞ」


 「ありがとうございます」



 部下Cはホッとした。



 「サーペント様!サーペント様!大事件です」



 魔道部隊黒炎龍の1人フォーリッドがアジトの秘密室に駆け込んできた。



 「黙れ!フォーリッド。おれは任務が達成した以外の言葉は聞きたくない。それともお前も俺にサプライズを用意してくれたのか」



 サーペントは蛇のような冷酷な目でフォーリッドを睨みつけた。フォーリッドは蛇ににらまれたカエルのように恐怖で何も言えなくなった。



 「【蛇龍王】に大事件など存在しない。それは俺たちが強者だからだ」


 「その通りです。失礼しました」



 フォーリッドは逃げるように秘密室から姿を消した。



 「この金の腕輪は俺が預かるとする」



 何事もなかったかのようにサーペントは話し出す。



 「わかりました」


 「金の腕輪が手に入った。次の作戦に出るぞ」


 「はい」


 「良い報告を待っているぞ」


 「もちろんです」



 部下Cは秘密室から静かに出て行く。



 「あれとは一体どういう事だったのだ」



 部下Cは部下Bから頼まれて、あれの意味を確認するために秘密室に来たのであった。



 「ダンディライオン家から金の腕輪を盗んで来いとの指示だったみたいだ」


 「おぉ~~~~!ボスからあれの事を聞き出せたのだな。お前は凄いぞ」


 「偶然だ」


 「謙遜するな。みんなボスが怖くて会話が成立しない。でも、お前はボスからあれのことを聞き出せたのだ。これは凄い事だ。お前はもっと自信をもっていいのだぞ」


 「そう言ってもらえるのはうれしいのだが、新たな指示が出た」



 部下Cはいぶかしそうな顔をして言った。



 「そうなのか!俺たちは何をすればいいのだ?」


 「金の腕輪が手に入った。次の作戦に出るぞと言っていた」



 部下Cはそのまま伝える。


 

 「そうか。で、次の作戦とは?」


 「次の作戦と言えば次の作戦だろ?」


 「・・・心配ない。今回はあれと違って話の流れで読み取る事ができるはずだ」



 部下Bは誇らしげに言う。



 「さすがだな。俺にはさっぱりわからん」



 部下Cは希望の光を部下Bに見出した。



 「まず金の腕輪とは一体どういうものなのだ?」



 金の腕輪の事がわかれば自ずと答えが出ると部下Bは思った。



 「ごめん・・・緊張していたので忘れた」



 部下Cはサーペントの迫力に飲み込まれてほとんど記憶が残っていなかった。



 「この馬鹿垂れがぁ!!!」



  部下Bは激高した。



 「そんなに怒るなよ。ボスは怖いから緊張するんだよ」



 部下Cは頭を下げて謝る。



 「部下Aと一緒でお前も使えないヤツだな」



 部下Bは大きなため息をついた。



 「そんな言い方をするなら自分でボスに確認すればいいじゃないか!」


 「聞けるわけないだろぉ~~~」



 部下Bは体を小さくして呟く。



 「放っておけばそのうち何か指示をくれるはずだ。それまで、果実でも食べてのんびりしようぜ」


 「そうだな」



 部下Bと部下Cは果物を食べるためにアジトの食堂に向かった。



 


 



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