第16話、ツッコミ役な姉とボケの妹

 ———獅子柱研究室。それは、巨大な摩天楼まてんろうを丸々一つを利用した研究施設だ。何でもビルそのものがかなりのテクノロジーを詰め込んだ産物さんぶつであり、核ミサイルすら弾き返すような要塞ようさいらしい。

 核爆発による汚染おせんされた空気すら、大規模浄化だいきぼじょうかシステムにより内部には一切の弊害すらあたえないとの事。

 爆発ばくはつによる単純な衝撃すら、衝撃拡散型装甲バリアシステムにより傷一つ付かないのだとか。

 と、それはともかく……

 僕達はその獅子柱研究室の最上階最奥の部屋へやへと来ていた。その部屋の中央には一体の人形が椅子にすわらされていた。見た目はメリーさんにそっくりだ。

 それも当然だろう。事前に僕がメリーさんの写真をおくっておいたから。

 いや、ごめんごめん。勝手に写真をった事も勝手にその写真を他の人へ送った事も全部謝るから。その物騒な包丁を仕舞しまってくれないかな?出来ない?ははっ、やれやれ相変わらずだね!いたいっ‼包丁が背中にぐりぐりと‼

 そんな僕達を他所に、カイはメリーさんの妹を。通称マリーを起動する。

 マリーさんはその顔を姉であるメリーさんへと向け、にやりとみを向けた。

「……います、貴方が私のねえさんですね?」

 何処どこかで聞いたようなセリフが飛び出した。そのセリフに、メリーさんはぶふっと吹き出してしまった。

 アキさんも、そのセリフに呆然ぼうぜんとマリーさんを見ている。え、僕?僕はもちろん隠れて笑いをこらえているにまっているじゃないか。ははっ、そう照れてくれるな面白いなあ。え?照れてない?あ、そうですか……

「えっと、この妹?生まれたばかりにしては感情豊かすぎないかしら?」

「そう、私はまだ生まれたばかりの赤子あかごですよ?おぎゃあってね」

「…………(#^ω^)」

「ははっ、そうにらんでくれますな。照れるじゃないですかっ!」

「だからっ、生まれたばかりにしては感情豊か過ぎるでしょう‼」

 この瞬間、メリーさんとマリーさんの立場たちばは決定した。ツッコミ役のメリーさんとボケ役のマリーさん。そして、り回される姉と振り回す妹。

 つかれ切った表情で、メリーさんは頭をかかえる。

「全く、ヤマトが二人にえたような気分よ」

「おおっ、私の同志フレンドが此処に居ましたか!」

「ははっ、君とは仲良なかよくやっていけそうだ!共にメリーさんをからかおう!」

「はいっ!」

 そう言って、僕とマリーさんはがしっと手を固くにぎった。う~ん、友情。

茶番ちゃばんは其処までにして、もういだろう?二人とも」

「「は~い……」」

 カイの言葉に、僕とマリーさんは二人揃って返事へんじをする。

「何なのよ、もう……」

 そんな僕達を見て、はぁっと深い溜息をくメリーさんだった。

 いやはや、たのしいな。

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