天界編

第25話、いざ天界へ

 そうして、まちの復興作業が始まって数か月がぎた。ようやく復興作業が安定軌道に乗り始めた頃、僕はメリーさんとアキさんと一緒に街のはずれにある高台の自然公園へと来ていた。

 この時間帯、この場所は人通りが全くない。街の復興作業をしている現在は余計に人通りがない。皆無かいむだった。

「じゃあ、そろそろ天界てんかいへ行こうか」

「……けど、本当にかったの?街の復興作業を手伝てつだわなくて。まだ復興作業自体は結構大変でしょう?」

 メリーさんが言った言葉に、思わず僕は苦笑くしょうをした。そして、続いて悪戯めいた笑みを浮かべるとそのままメリーさんの背後に回って彼女にき付いた。

 その際、メリーさんのむねに手が触れる。おお、やわらかい⁉

「えいっ♪」

「ひゃっ!」

 驚いて悲鳴ひめいを上げるメリーさん。そんな彼女をじっくりとでまわし、そして揉みしだく。うん、セクハラなのは自覚じかくしている。

 ……それにしても、やっぱりメリーさんは抱き心地が良いな?

 思わず柔らかい部分とか撫でまくって揉みしだいてしまう。うん、事案じあんですな。

「メリーさんの気持きもちも理解出来るよ。けど、流石にこれ以上あの女神様めがみさまを待たせる訳にはいかない。それに、もうまちの復興作業自体は安定軌道に乗っている。だから僕達が居なくてももう大丈夫だよ」

「あ、やっ……やめ、てっ……ああんっ!」

「……ほれほれ、此処ここが良いんか?此処が良いのか?」

 あ、ちょっと興奮こうふんしてきた。

めんか、セクハラ野郎っ!」

いたいっ!アキさん痛いよ!」

「セクハラしたあんたが悪い!……そういうのは、私も一緒にぜてよ」

 最後、ぼそりとつぶやいたアキさんの言葉に、僕の脳内あたまはヒートアップする。

 アキさんの顔は、これ以上ないくらいに真っ赤だった。どうやら彼女自身も興奮していたらしい。

「ひゃっはー!レッツパーリィ―だぜえー‼」

「やんっ♪」

「……もう、何なのよ。こいつ等」

 ごめんなさい。大変調子にりました。すいません。

「まあ、悪乗わるのりはともかくだ。そろそろ僕達が出向でむかないとこれ以上女神様を待たせる訳にはいかないんだよ」

「……それは、どうして?」

 アキさんの問いに、僕は苦笑を浮かべた。

「それはね、僕がすでに死んでいる筈の人間だからさ。其処そこはメリーさんも知っているだろう?」

「……え?」

 僕のセリフに、アキさんが蒼褪あおざめる。対して、問われたメリーさんは表情を陰らせ俯いた。分かっている、本当は僕は既に死んでいる筈の人間にんげんだって。

 あの時、死神にナイフで胸をかれた時に僕は死んでいた筈だから。

「……あの時、死神に殺された僕はそのまま死んでいた筈だったんだよ。それを、メリーさんと魂をつなげる事によって何とか生きながらえたんだ」

「魂を、繋げる……」

「うん、今の僕はメリーさんと命を共有きょうゆうしている事になるね」

「そんな……」

 悲しげに表情を陰らせるアキさん。僕はそんな彼女のかたを抱き寄せ、そっと目元に溜まった涙を指でぬぐった。

 僕の方を見るアキさんに、笑顔を向けた。そして、メリーさんの腰もそっと抱き寄せて三人で身体を寄せ合う。

「大丈夫だよ。この状況を解消する為に、僕は早めに天界てんかいへ行こうと思ったから」

「そう、だね……。うん、分かったよ」

 そう言って、アキさんはうなずいた。そうして、僕達三人は身体をせ合い天界へと転移した。

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