第2話、ダンジョン攻略なう!

 現在、空の上。竜王りゅうおうウロボロスの背の上で僕とメリーさんは目的地まで急行中。

「で、つまりその怨嗟竜というドラゴンが洞窟を占領せんりょうしているから討伐して欲しいと竜王に依頼いらいがあったという事か?」

「うむ、その通りだ。ついでに言うと、その怨嗟竜はアンデッドだ。だからこそ除霊の経験があるお前にたのみたかったのだ」

「へえ、なるほど?」

 楽しげに談笑だんしょうする僕達。だが、そんな中メリーさんがあわてた様子で話に割り込んできた。

「ちょ、ちょっと待って!貴方除霊の経験があるって‼」

「……うん、本当だよ?元々幼い頃から幽霊とか妖怪とかを相手あいてにしてきたから。その関係で人間よりもその手の友達ともだちの方が多いくらいだよ」

「……………………」

 何故だろう?メリーさんが呆然ぼうぜんとしているのは。まあ良いか、そのまま僕達は目的の洞窟まで急行する。

 すると、目の前に洞窟の入口が見えてきた。どうやらその洞窟が目的地らしい。

 怨霊おんりょうの気配がびしびしと肌で感じられる。空気がつめたくなってくる。俗に霊障れいしょうと言われる奴だろう。

 ウロボロスがゆっくりと、洞窟の前へりてゆく。背中から降りた僕とメリーさんはそれぞれ武器を構える。メリーさんは包丁ほうちょうを、僕は神社で大量に貰っておいた御札の数々を。それぞれ手に取った。

「では、さっき打ち合わせた通り作戦さくせんは正面突破!ガンガン行こうぜ!」

「おうっ‼」

「え、えぇ~」

 一人、り気ではないメリーさんだった。まあ、最初はね。そんな物だろう。

 ・・・ ・・・ ・・・

「ダンジョン攻略こうりゃくなう!」

「いきなり何よ?」

 メリーさんに突っ込まれた。うん、中々斬新である。

「そう言わずに、ちょっとはメリーさんも心を開いてたのしもうぜ」

「ちょっ、いきなりき付かないで!胸に触るなっ変態へんたい‼」

「うははははは、かわいい女の子に変態って呼ばれるのは興奮こうふんするな‼」

「し、真正の変態だった‼」

「ふむ、この状況でいちゃいちゃ出来るとは。ずいぶんと余裕よゆうだな?」

「いちゃいちゃしてないっ‼竜王おまえの目は節穴か‼」

「「わはははははっ!」」

 どうやらやり過ぎたらしい。メリーさんが本気ほんきで落ち込んだ。

 とはいえ、この状況で別に呑気のんきに話しているだけという訳でもない。僕達は今、ダンジョンと化した洞窟の中なのだから。ようするに、アンデッドがわらわらと大量に出現する。

 スケルトン、ゾンビ、ゴースト、それ等がわらわらと目前に出現しゅつげんした。中々に腐臭が凄いな?見ろ、メリーさんが顔をしかめているぞ?

くさい……」

「そりゃあ、アンデッドの群れだからな~」

「そう言うならお前が何とかしたらどうだ?除霊は得意だろうに」

「まあ、そうするけどさ」

 言って、僕は御札おふだを手に取る。そして、そのまま適当な祝詞のりとを告げる。

はらい給え……清め給え……‼」

 御札を投げた。その御札は一直線に飛んでゆき、そのまま目前のアンデッドを一斉に浄化じょうかしていった。

 その光景に、流石のメリーさんも驚きに硬直こうちょくした。

「なに、今の……あんな適当極まりない祝詞で?」

「いやあ、照れるぜ……」

めてない……」

「お、どうやら最奥さいおうに着いたらしいぞ?」

 僕達の目前に、広い空間があらわれる。その空間の奥にはドラゴンのゴーストが鎮座ちんざしていた。どうやら奴が目的のドラゴンらしい。

「あれが……」

「そうだ、怨嗟竜えんさりゅうファントムだ」

 息を呑み呟いたメリーさんに、ウロボロスが答える。

 怨嗟竜ファントム。なるほど、随分と怨念おんねんを溜め込んでいるな?

 僕はそのままゆったりとした足取りでファントムへと近付いてゆく。ファントムは頭を持ち上げ、俺を睨み付けた。その目は怨念に染まり切っている。

「やあ、お前がファントムだな?」

「そうだ、我が領地なわばりを犯す気様は何者なにものだ?」

「僕の名前は大和。新藤大和だよ」

「そうか、では死ぬがよい」

 言って、瞬間ファントムが大口を開けて青紫色の鬼火おにびブレスを吐いてきた。

 僕はそのままそのブレスにみ込まれ……

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