第15話、科学世界

「さあ、はじまりました異世界転移のお時間じかんですっ‼」

「いきなり何?その無駄むだに高いテンションは……」

 僕のセリフに、メリーさんがナイスなツッコミを入れてくる。流石は僕の相棒的ポジションのキャラだね!イエーイっ!

 え、誰が相棒だって?いやだなあ、メリーさんにまっているじゃないか!

 え、じゃあアキさんは?アキさんは……まあ、愛すべき彼女ヒロイン

 いや、まあ大好だいすきだよ?うん。僕が今までの人生で此処ここまで好きになった女性は居ないくらいだからね?いや、本当本当ほんとほんと。はははっ!

「じゃあ、そろそろ異世界に行こうか!」

「何だか、話をらされた気がする?」

「あははっ、まあヤマトだからねえ……はぁっ」

「そうだ、今度一緒にエッチなDVDの鑑賞会かんしょうかいでもしようぜ?DVDショップで借りてくるからさ、みんなで見よう」

 その言葉に、アキさんは顔をぼんっと真っ赤にめてメリーさんは無言で包丁を取り出した。うん、包丁は止めようか?流石に此処で刃傷沙汰にんじょうざたはマズイって。

 いや、悪かった。ごめん。あやまるから……だから包丁は仕舞しまおう!

 痛いっ!今、何か先端のするどいもので背中をぐりぐりされた⁉

「……ふうっ、ゴミは消え去った」

「……いや、勝手に殺さないで欲しいなあ(笑)」

「全く、そんな事よりさっさと転移しなさいよ。時間の無駄むだ

「やれやれ、しょうがないなあ。これだからお子様は……」

「……………………(#^ω^)」

「ごめんなさい、本当に謝るから許してよ」

 流石にからかい過ぎたか。本気で刺される前に、僕は転移テレポートを発動する。

 気付けば、僕達は近未来の都市としの中に居た。空路くうろを自動車のような乗り物が走り回るという何ともSFな光景が広がっている。

 確か、あれって反重力装置がどうのと言ってなかったっけ?

「……来たか。ひさしぶりだな、ヤマト」

 僕達の背後はいごから、声が掛かる。其処には白髪に黒ぶち眼鏡を掛けた白衣の男が立っていた。見た目は神経質しんけいしつそうな顔をしているが、結構良い人だったりする。

 まあ、悪戯好きなのが玉にきずだけど……

「久しぶりだね、カイ」

 彼の名は獅子柱ししばしらカイ。この科学が発達した世界においても最高位の科学者だ。

 確か、最高位の科学者にあたえられる”グランド”の称号しょうごうを持っていた筈。

 その称号も合わせて、彼はグランド=カイ博士と呼ばれている。この世界において何よりも優先される最高位の権威けんいなのである。

「ああ、それよりもお前にたのまれていたアレが完成かんせいしたぞ?」

「アレが?ずいぶんと早いね。ついこの前発注したばかりでしょ?」

「……俺をめないでほしいな。この程度は朝飯前だ」

 僕の背後で、アキさんとメリーさんが首をかしげている。

「さっきから一体何の話をしているのよ?さっさと教えなさいよね、ヤマト」

「ああ、ごめんごめん。カイにはメリーさんの妹を作ってもらってたんだよ」

「「……はい?」」

 おお、アキさんとメリーさんのこえがハモった!

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