第43話 善意と悪意の対決(後編)
それでも、私は動じない。むしろ、「かかってこい!」と言わんばかりに身構えた。
銃を取り出すまで時間がある。だから、私は飛び出して不意打ちする。
「な、何!?」
私は銃を探っている彼女の手を掴んで、
唸り声を出して、
しかし、私はそれを簡単にかわして、彼女を子供のように抱き上げた。
「銃を持っているのがわかるのよ!」
と、私は言って彼女の
すると、彼女が取り出そうとしていた銃がポケットから落ちて、床にぶつかった。
それを見た
そして、今まで修羅場を傍から観察していた
「これはもう要らないね。銃は斎場にふさわしくないよ」
言って、
銃を踏むたび、
彼女にはもう武器がない。必死に藻掻くことしかできない。
「ど、どうして銃を持っているのがわかったの……!?」
と、
正直、彼女は頭がよくなさそう。主犯がそんなことを叫んだら、警察がすぐに来るんじゃないか?
「タイムスリップしたんだ! 前回はあんたに膝を撃たれたせいで葬式に行けなかった。でも、
叫んで、私は
私たちは廊下の突き当りにあった部屋に入って、
「今警察を連絡するから、
私が頷くと、
よりによって、私はヤナカと二人きりになってしまった……。
もう何もしようとしないだろうと思って、私は
「もう、
「ほう、『ただの部長』じゃなかったっけ?」
「私はそんな言葉を言わなかったけど」
ーーしまった。この時点で彼女はその台詞を言わなかったんだ。
「なんでもない」
言って、私は溜息を吐いた。
葬式はこんなものだろうか? 違う、多分。
普通に上手くいくだろう。銃を持ってくる人は来ないだろう。少なくとも、
言い方が悪いけど、この混乱は妙にふさわしく感じた。なぜか
しかし、あくまで葬式だから混乱が良くないに決まっているだろう。
ーーそういえば、警察はいつ来るのかな? これ以上この問題児の子守りをしたくないよ……。
そう考えた途端、誰かがドアをノックした。
私は床から飛び出してドアを開けた。
視界に入ったのは、
「この銃ですか?」
「はい、そうです。わたくしはできるだけ振れないようにしたので、ほとんど犯人の指紋が残していると思います」
「助かります、お嬢さん」
そして、一人の警官が部屋に入ってきて、
「
「……はい」
「銃器所持の容疑で逮捕します」
言って、警官は
彼女の遠ざかっていく姿を見つめながら、私は頭の中でガッツポーズをして、「ざまあみろ」と思った。
私は
ーーさらば、
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