第12話 初恋のハッピーエンド
メッセージを読み終えると、
「何かありましたか?」
と、私は困った表情を浮かべて言った。
正直、メッセージの内容を知りたかっただけ。
「こ、これを見て」
言って、
『今日は本当にすまんな。せっかく恋文を手渡してくれたのに来なかった。実は、僕は
私がメッセージに目を通している間、
ーーああ、これは青春だね。
私は懐かしくなった。
高校生のころ、
まあ、あのころの私も素直ではなかったけど。
「よかったですね! 明日は学校で告白するはずです」
「ホントに叶った……あたしの夢が」
「正直、私も少し驚きました。店長さんの力はすごいですね」
そして、
「本当にありがとうございました」
「あら、頭を下げなくてもいいですよ。これはわたくしの仕事だけですから」
「それでも、本当に感謝していますよ。だって、このお店のおかげであたしの願い事がやっと叶ったんですし」
お礼を言ってから、
「あの、出口はどこですか?」
「そうですね。今ドアを開けてあげます」
と、
その瞬間、不可思議なことが起こった。
私と
「それでは!」
疑問を投げかける間もなく、私たちは見慣れた食堂に戻された。
「一体何が……」
そう言ったのは、
「私も、よくわかりませんけど」
と、私は彼女を慰めるように言った。
今朝時間が少なかったとはいえ、
「結構遅くなっていますし、まだ女子高生ですね。そろそろ帰ったほうがいいと思いますよ」
「そ、そうですね。じゃ、あたしはこれで……」
言って、
ーー彼女は一人で大丈夫かな……。
「じゃ、閉店しようか?」
数分後、
世界で一番可愛いメイドの私がここで働き始めたものの、客足はまだ増えていない。しかし、その一方で閉店準備は短かった。
数個の皿を厨房に運んでいって、食器洗い機に入れた。
私は背伸びをして、溜息を吐いた。
振り向くと、
「もう帰っていいのよ、後はわたくしに任せて」
「わかりました」
頷いて、私はそう言った。
後は着替えるだけだ。
厨房を出て、台詞を練習した更衣室に向かった。
メイド服を脱いで吊るしてから、OL服に着替え始めた。
脚を黒いタイツに通して、白いシャツを着た。長い髪を首に押し付けたまま、ブレザーに腕を通した。
静かな店内に
そして、ドアの向こうから
「入ってもいい?」
「はい、後は靴だけです」
「メイド服よりそっちの方が似合うと思うの」
褒められているかどうかわからなかったけど、とにかく褒め事として受け取った。
「ありがとうございます。でも、メイド服を可愛く着こなすように頑張ります」
私は靴を履いてから更衣室を出た。
たった一日しか経っていないのに、このOL服にはもう慣れていない。タイツ以外は窮屈すぎて動きにくい。
「これから、いろんな人がこの店を訪れる。今日はめでたしめでたしで終わったけど、下心を持ってここに来る悪人もいるはずだね。皆の願い事をちゃんと聞いて、自分で判断しなければならない。頼むよ」
「わかりました。私に任せてください」
「ありがとう。今日はお疲れ様でした」
と、
「お疲れ様でした」
私は別れを告げて、薄暗い街を歩き始めた。歩きながら、黒髪が涼しい夜風にそっとなびいていた。
後ろからドアの音がかすかに聞こえた。振り向くと、
こうして、新しい仕事の初日は無事に終わったーー
そう思ったけど、一つ問題がまだ残っている。この服は、歩くことさえも一苦労するほど窮屈なんだ。
ーーもう、給料をもらったら絶対に新しい服を買いにいくわよ……。
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