第39話 手術跡
目が覚めると、天井が視界を埋め尽くしている。
私は
真っ白な室内があまりに眩しく、見知らぬ部屋で起きた私は戸惑ってしまう。
慌てて視線をさまよわせると、二人の姿が視界に入った。
ぼやけた視界で顔がよく見えなかったけど、彼らが近づいてくると心の底から安心した。
「
「
その声が聞こえてくると、私は彼らの正体に気づいた。
ベッドに駆けつけるのは
二人とも心配そうな表情を浮かべて、私の側に立っていた。
「ど、どこですか?」
と、寝ぼけた私は
その問いに、
彼女の冷静な行動を見ると、私はさらに安心感を覚えた。
「ここは病院なのよ」
ーー病院……? 一体何が……?
私は首をかしげると、一時間前のことをふと思い出した。
なかったことにしたかったのか、頭の奥底に閉じ込めた記憶。
どうりで膝が痛むわけだ。幸いなことに、膝の様子を見ると血はなかった。それなら、今はもう術後なのかな?
何よりも、私はまだ生きている。
「
「膝。膝が……すごく痛いんだ」
「あ、そうね。ずっと意識不明だったけど、三十分前に手術されたの。たぶん術後の痛みでしょ?」
ーーやっぱり術後だ。
私が手術を受けている間、皆は何をしていたのかな。おそらく心配していたんだろう。まったく……。
「別にいいけど、お葬式はもうーー」
「もう終わったのよ。残念だけどしょうがないよね」
私の脳裏を読んだのか、
「……そうだね。でも、どうしても行ったかったんでしょ?」
「大丈夫。わたくしなりに
頷いて、私は膝に視線を落とした。
手術跡を見てから、私はまた
「この跡は大丈夫ですかね? タイツを履いたら隠れてくれると思うけど」
「そんなことより、
と、
まるで置物のように無言で立っていた彼の存在をすっかり忘れてしまった。
「ご、ごめん
「まさか、俺のことを忘れてたのか?」
彼が怒っていると思いきや、唐突に笑い出した。
「あははははは!
まるで妖怪に憑かれたかのように、彼はあははと笑い続けた。
「あはははははは!」
そして、私も笑わずにはいられなくなった。
「あははははは!」
私たちの笑い声が重なって、
「うふふ〜。よかったね、皆が気を取り直したみたい」
「
私がそう言い足すと、
「とにかく、私たちはこれからどうすればいいのかな? お葬式に行けないし、
確かにこの状況はまずい。一週間も接客できないなら、ゆめゐ喫茶は倒産しかねない。
しかも、私がまだ生きているということに気づいたら、
それでも、私たちには一つの武器がまだ残っている。
ーーそれは、
真っ先に脳裏に浮かんだのはSFでよく出てくるタイムスリップだった。そもそも
「
私の即答に、
「
と、
「私の計画を聞いてください。もちろん、今までの願いは
「願い事を変える? では、新しい願い事は?」
「時間を
「でも、
「確かリスクが高いけど、今回私は一人でお葬式に行くつもり。
しばらくの間、
「わかった。でも、あくまでお葬式だよ? 命をかける必要はないでしょ」
「それはわかっている。だけど、口に出さなくても
私が諦めないということを察したのか、
「では、わたくしは
「わかった。もし
馬鹿なことを言うなよ、と私は思ったけど本当にありがたい。
そして、私と
ーー
何か言いたくなったけど、何を言えばいいのかな……?
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