第41話 一瞬だけの一安心
計画に反して、結局私たちは同じ電車に乗り込んだ。
私は立ったまま
長い間走っていて、私の呼吸はまだ荒い。
私より体力が高いのか、
ーーやっぱり説明したほうがいいだろうか……
「さっきのことなんだけど、少しでも説明してくれないの?」
と、
『必要があったら説明する』と言ったものの、その『必要』が思ったより早く来た。だから、どう説明すればいいのかまだわからない。タイムスリップから説明しようか? それとも病院のことからしたほうがいいのかな……。
思いを巡らせて、私は必死にわかりやすい説明を考えようとした。
ーーああ、考えておけばよかったのに。
まだ車内にいることに気がついて、私は説明を始める前に声をひそめておいた。
「私はタイムスリップしたんだ。二時間前に時間を
説明を終えて、私は息を吐いた。
私が話している間、
やっぱり、真相を隠す必要はなかった。
「わたくし……タイムスリップの許可をあげたのか。つまり、
言って、
「そう。
「そうね。ま、悪い事なんかじゃない。少し驚いただけ」
電車がいきなり揺れると、私は吊革を放してしまって
何回も電車を乗り換えて、私たちはそろそろ斎場に到着するようだ。
『ツギは不動前デス』
電車が停車すると、
彼女の姿を見失わないように、私は人混みを掻き分けた。電車を降りると、彼女が駅前で待っていることに気づいた。
「こっちだよー、
言いながら、彼女は背伸びして手を振った。
休む間もなく、私たちは集合場所に向かった。
♡ ♥ ♡ ♥ ♡
斎場の外にたどり着くと、葬式の始まりを待っている何十人もの人が視界に入った。
念のため、私は人混みの中で
とりあえず、私たちは少し休んでもいいだろう。私は安堵の溜息を吐いて、
しかし、彼女はそこにいなかった……。一体どこに行ったんだろう?
再び人混みを見回すと、
吐息を漏らしてから、私は覚悟を決めてそこに向かった。
メイド喫茶で働いているとはいえ、まだ雑談が苦手なんだ。しかも、葬式に行くのは初めてだから、どんな話をすればいいのか全然わからない。
まあ、
私は彼女を真似したらなんとかなるだろう。そう決めて、私は会話に参加しようとした。
「あ、
私はそう思ったけど、
それに、家族はゆめゐ喫茶に行ったことがないなら
「
同じ自己紹介を何回も聞いて、私は既視感を覚えそうになった。
見知らぬ人と挨拶を交わして、葬式が始まるまで時間を潰した。賑やかな場外から離れて、私は一人でベンチに座った。
そういえば、
もしかして、斎場まで送ってくれるというのは罠だったのか? それなら、私たちは車に乗り込んだ途端に銃で殺されたんだろう。無理もない話だ。
この時点ではまだ起こっていないことなのに、術後の痛みを思い出すと寒気がした。
今度こそ、私は無事に
しかし、弾丸は避けられないし、武器を持っていないし、私は勝てるわけがないじゃないか?
それでも、
ーー
その眼差しはまるで私の
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