第19話 反省と錯覚

 「それで、そのあとはどうしたんだよ?」


 本宮と神原は、いつもの居酒屋で、いつものように飲んで過ごしていた。


 いつもと違うことがあるとしたら、それは、連絡を本宮からしてきた事だった。


 本宮が先日のデートの話を、神原に話し終わった所で神原が質問をしてきたのだ。


 「そのあとも、言っただろ、映画を見て彼女を駅に送って終わり。」


 神原は、釈然としていなかった。

 コーヒーと映画を見て終わり。

 一週間引っ張って、大人の男女が小学生のようなデートで終わったのが、引っ掛かった。

 しかも、前日に彼女は、ケーキを持ってきているのだ、好意も多少あったのに、尻すぼみだ。


 「そのあとってのは、デートの事じゃない、そのあとの連絡とかはどうなったんだよ?ってこと?」


 その問いに本宮は、首をふる。

 連絡も来ないし、してもないのだから、伝える事はない。


 「彼女の事好きなんだろ」

 「もちろん、でも、彼女凄く綺麗だったから」

 

 神原は、言葉を続けなかった。

 本宮には、昔からこういう所がある。


 他と比べて、

 自分なんて、

 見劣りしてしまうから、

 

 普段は、見られないのだが、恋愛になると、他人にどう見られてるのかを、気にしすぎてしまう事がある。


 誰も気にしていない事も。

 なので、上手く恋愛が出来ないのだ。


 神原は、その事をよく目の当たりにしているし、本宮自身にも伝えているが、理解はされていない。


 時折自分の方がおかしいのかとの錯覚にも陥ってしまう事もある。


 (どーしたもんかな。)


 そんな神原は、だまってお酒を飲み出す。





 

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