第17話 コーヒーと機転

 屋上駐車場に車を停めて施設内に入る、また12月の日曜日という事もあり、大勢の人だかりであった。

 

 まだ、時間に余裕があるが、映画館で予約チケットを発券し、時間を確認してみる。


 あと、40分ほどある。


 『帯に短し襷に長し』、本宮は頭の中にその言葉が思い浮かぶ。

 

 食事をするには、時間が短いし、かといって映画館で並ぶにはまだ、待ち時間が長い。


 本宮自身は、待つのは好きなのでなんともないが、さすがにデートでそれは出来ない、どうしたものかそう思っていた、タイミングで春は、切り出す。


 「良かったら、そこのコーヒーショップで時間つぶしませんか?」


 またもや、春の助け船、行ったことない大手のコーヒーショップだな、そう思いながらも、拒否する訳にもいかない。


 「いいですね、行きましょう」


 その言葉で二人移動を開始する。


 お店は、少し混雑し、ちょっとした行列が出来ていたが、本宮には好都合だ。


 どうしようか、スマホで調べる前に、友人の神原の言葉を思い出す。

 『大型チェーンのコーヒー店で注文する時に戸惑う時には、一緒にいる人と同じの頼めば問題ない』


 それで、行こうと決心を決め、スマホを収めた。


 自分達の順番になり、若い女性の店員が声をかける。

「お待たせしました。

 いらっしゃいませ、ご注文をお伺いしてよろしいでしょうか?」

 その言葉を合図に、春が先に注文する。


 「キャラメルフラペチーノのドールを一つと、本宮さんは?」

 すぐさま本宮が答える。

 「同じので」


 店員を一瞬の間を見せるが、直ぐ様後ろにオーダーを通した。


 勝った、本宮は思ったが、差し出されたキャラメルフラペチーノを見て、素直に勝った気分にはなれなかった。

 その差し出されたキャラメルフラペチーノは、あまり、男性向きな飲み物には思えなかったからだ。


 「甘いのお好きなんですね?」


 本宮と春の二人は、店内で過ごして、映画館へ。


 本宮は、口のなかの甘ったるさを何とかしたいと思いながらも、どうする事も出来ずに足を進めた。


 

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