第31話 竜二と総司

  玉城と本宮はコンビニ近くの有料駐車場に向かい、玉城は縁石に腰を降ろすが本宮は立ったままだ。


 「お前も座れ」


 玉城の言葉に本宮は玉城の横に座る。


 本宮は、少し緊張していたが、緊張よりも春の今の状況に対しての不安が大きい、前置きなく本題には入る。

 「忙しいのにすみません、その春の事、なんかヤバいみたいだったから」


 「いくつだ」


 「えっ」


 「あと、名前を聞いてない、俺は玉城竜二、22歳だが、年下って訳じゃなければタメ口でいいぞ」


 「すまない、俺は本宮総司、29だから普通に話させてもらうよ」


 お互い自己紹介が終わって変な間が一瞬生まれたが、沈黙を破って玉城から会話を始める。


 「あんまり、詳しく話せないんだが、こういったトラブルは少なくないが、キャストとお客の金絡みのイザコザだ、女は仕事で付き合ってたが男は本気にしたって訳だ」


 玉城はコーヒーを一口飲み話を続ける。


 「ハルって子は少し夜っぽくないから、ちょっとそういう奥手な男に好かれるし、そういう男は『遊び』は上手くないからな」


 「のめり込み過ぎたんだろう、お金も使って周りも見えなくなるくらい」



 本宮は、少し考えて話を返す。

 「なら、春は関係ない、その男が勝手にやってるだけだろ」

 

 「だとしても、ハルがたぶらかしてお金を取ったって思ってるらしくてな、まぁどうでもいいが、そんなこんなで今こんな感じだから、お前も大丈夫か?」



 本宮は、真っ直ぐ玉城を見て答える。

 「俺は彼女の事をあまり知らないけど、意図的に誰かを傷つける人じゃないよ」


 玉城は鼻で笑った、多分ストーカー男も同じ感覚なんだろうなと。


 「まぁどうでもいいんだがな」


 「俺が知ってるのはそれだけだし、話せるのもそれだけ、あとはお前次第だな」


 そう言って飲み干した缶コーヒーを地面に置いて、一人その場を離れる、捨てられた缶コーヒーを拾い本宮はゴミ箱に捨てる為その場を離れた。


 本宮は、深い夜のなか次の行動を考えていた。

 


 


 


 

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期待過剰な自意識過剰 @nagaresasa

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