第11話 ファミレスと三名様
本宮が経営する本屋『ラクヤ』から、大通りに出て少し進んだ所に、ある全国チェーンのファミレスが営業している。
徒歩で10分程の場所であるが、本宮も、他の二人のスタッフも来たことはないらしい、そんなファミレスに今三人は向かい合って座っている。
遡る事、約20分ほど前、デートOKのLINEの後、帰ろうとする本宮を蒼井、長田は引き止めたのだ。
「せっかくなんで、みんなで
ご飯でも食べに行きましょう」
蒼井は、勤めて約一年、長田は半年程で、プライベートでは、全く関わらなかった二人からそう言われ、少し困った気持ちと嬉しい気持ちが入り交じり本宮はOKをしたのだ。
蒼井と長田は並んで座り、メニュー表を眺め選んでいる、そして、注文を決めたようだ。
「じゃあ、俺はハンバーグセットで、蒼井は?」
「私は、この明太子パスタにします。本宮店長は何食べますか?」
「俺は、飯は遠慮しといて、飲み物だけで…」
そう伝えると、蒼井と長田は不服そうな顔をみせた。
「せっかくだから、みんなで食べましょう。」
「そうですよ、お金出す人が食べなかったら気使っちゃいますよ、俺。」
長田の中でナチュラルにお金を本宮が出すことになってしまっているようだ。
本宮は、年下に気を使わすのもと悪い思い直ぐに注文を決める。
タッチパネルから、三名の注文を行い、一旦、何食べようかのテーマの話は終了する。
長田は、明太子パスタは、邪道だと独自の理論で蒼井を茶化しているが、それに対し、蒼井はそんな事ない、ファミレスでハンバーグなんて普通すぎると反論していた。
本宮は、外でみる二人は、いつもと雰囲気が違うなと思い見つけていた。
長田広夢は、大学生の陽キャと言った感じだか、人懐っこいというか、距離を詰めるのがうまい感じがするタイプであるし、
蒼井咲良は、大人しいタイプだが、急にテンションが上がったり下がったりする子だし、メンバーのなかでは、一番年下だがいきなりお姉さん風になったりと個性が強い。
「なんか、二人とも変わってるよな」
『お客さんナンパする人に言われたくはないです』
そう呟くように話した本宮に、二人から秒で反論されてしまった。
食事が、テーブルに運ばれ並び、それぞれ食事を始める、蒼井は、この不思議な雰囲気が何故か嬉しく昔の事を思い出していた。
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