第29話 お節介と友情

 本宮は疲れた身体を自宅で休んで過ごしていると、テーブルに置いてあった、スマホが着信を知らせた。


 神原からのラインであった。


 『少し直接話したい、悪いが下の駐車場に降りてこれないか』

 

 時計は、天辺を指している、この遅い時間に一体どんな用事なのだろうか。

 疑問を感じながらも返信する。


 『かまわないが、少し待ってくれ』


 何か変な緊張感を感じながら本宮は少し身支度をすませて、駐車場に向かう。


 友人の神原が、駐車場の花壇に腰かけている。


 「いったいどうしたんだ」


 神原は、右手を上げて挨拶をし、立ち上がりゆっくりと本宮に近づく。


 一瞬、表情を曇らせてが、何かを決心した神原は、ゆっくりと伝える。


 偶然、夜のお店で春が働いている事を。


 本宮は、一瞬目を丸くするが、しかし、すぐに、言葉を返す。


 「彼女がなんの仕事をしていても、関係ないだろ、それに、人の秘密を勝手に話をするのは、どうかと思うが」

 

 少し苛つきを見せて、踵を返す。


 そんな、本宮を神原は、肩を掴んで止める。


「待ってくれ、本宮、本題はそこじゃない」


「彼女は危険だ、ストーカーに遭っている」


 神原は、腹の底から言葉を絞り出す。

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