第28話 金髪と名刺

 神原と長田、ハルとキャッチ(客引き)の男は松山の道で向かいあっている。

 

 「トラブルは困りますよ」


 キャッチの男は、金髪の長身、一見するだけで道を譲りたくなる外見の男に、神原は怖じ気ず対応する。


 「すまないが、あなたには関係ない事だ」


 「そうは言っても、この子、、」


 金髪の男は、ハルのを顔を見て一度言葉を止め、なにかを理解したかの様に話を続ける。


 「たしか、ホワイトシューズのハルだな、だとしたらやはりほっとけないな」


 二人のトラブルは、回りの人間にも緊張感を与えている、このままでは録な事にはならない。

 長田は、神原を止めようとする。


 ハルは、その光景をみて、その場を離れようとタクシーを止める。


 「ちょっと、まだ話が」

 

 言い終わらない内に金髪が止める。


 「いい加減にしろ、それとも黙らせてやろうか」


 暴力を匂わせて、神原は脅してくるも、神原は逆に睨みをつける。


 その間に、タクシーは行ってしまう。


 「行ってしまいましたね」


 長田はボソリと呟く。


 

 金髪は、タクシーを見送りながら問いかける。

 「あんた達は、あのストーカーの知り合いか」


 「ストーカー」


 急に話に、神原はおうむ返しで答えた。

 

 「あの、キャスト、最近ストーカーにつきまとわれてるって話でな、見た感じ特徴は違うが、知り合いじゃないのか」


 「そんな話は知らない、友人繋がりだが、あいつはそんな奴じゃない」

 「そうだ、あの人は、そんな事をする人じゃない」


 二人の反論に金髪は、なんとなくだが、自分に怯まない態度に嘘を感じなかった。


 「まぁ、どうでもいいか」


 金髪は、背を向けるを、神原が止め言葉をかける。


 「ちょっと待ってくれ、そのストーカーの話を聞かせてくれないか」


 金髪はめんどくさそうに振り返り、答えた。


 「関係ない奴に、ベラベラしゃべると思うのか、ただ、直接関係のある友人にってのになら、話してやらんこともないがな」


 そう言うと、スーツの内ポケットから名刺を差し出す。


 名刺には、名前と連絡先が記載されている。


 玉城 大地


 それが、金髪の名前だ。


 玉城は、無関係な神原達には伝えるつもりはないが、その友人なら話してもいいかもしれんと思い、名刺を渡したのだ。


 その無言のメッセージを神原は受け取り、ことの動きを、本宮に伝える事を心に決めるのであった。



 





 

 

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