第9話 既読と振動

 本宮は、スマホのLINE通知を確認していた。


 午後5時、本宮は、仕事中ではあるがら、纏まった休憩時間がとれない人員配置なので、隙間隙間に小休止を入れながら業務にあたっている。


 今日は、土曜日、外はひとの往き来がいつもより多いが、お店に入る人は少ない。

 皆楽しそうに道を歩いている。


 休憩室(といってもレジの直ぐ裏で、カーテンで目隠しで区切りをしているだけ)から、窓を覗きその、楽しそうな人々に少し本宮は、ため息を漏らす。


 昨日のあのテンションは、なんだったのだろうか、なぜ誘ったら来てくれると思ったのだろうか、そこまで、期待していた自分が恥ずかしい、そんな事を思いつつ再度スマホを見る


 通知はない。


 「どうしたんですか、店長」


 レジの方から、いつもと様子の違う店長に蒼井が、話かける。


 「なんでも、ない。ただちょっと、」


 普通なら話さないが、少し誰かに聞いてもらいたいそんな、気持ちが働き、昨日の経緯を話した。


 蒼井はドン引きした表情をみせた。

 その蒼井の後ろから、長田が覗きこむ、今日は休みの予定の彼がいたのは予想外であった。


 「今日は休みじゃないのか?」

 本宮は、驚きの表情をみせ問いかけた。


 「今日は、好きなマンガの入荷日なんで、遊び来ちゃいました、そしたら、こんな面白い話きけるとはラッキーです。」


 蒼井は、呆れた表情で話す。

 「店長、酔った勢いで、デートするためだけに、観たくもない映画に誘ったって事なんですよ。それは、返事もされないんじゃないかな」


 確かにLINEの送信履歴を見たら、夜中の一時、彼女の睡眠を遮ったので直ぐに既読はついたのは、確認した後に眠た寝たからだろう。


 「勢いは大事ですけど、タイミングが悪いっすよ」


 本宮は、そう言われ余計に落ち込む。

 こういう、空気を読むのが苦手だ、そう思った瞬間に、スマホが振動した。


 皆が、黙ってスマホを見つめる。

 本宮のスマホにLINEの通知表示されていた。

 


 


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