第10話 閉店とため口

 午後10時、閉店した店内、3人の男女が集まっている。


 LINEの確認はまだ、していない、何故ならLINEの確認をしようとした所、長田が制止したのだ。

 「今、見ると色々あると思うんで仕事終わったタイミングでみましょう。」


 そう言うと、長田は頼まれてもいないのに、次の日の入荷準備や、仕事は早く終わるように業務をこなした。


 いつもより、閉店し、そして、今の時間となったのである。


 本宮は、彼に何がそうさせるのだろう、そう思いつつ、過去最高の閉店準備記録に驚いていた。

 そして、スマホを取り出した

 「じゃあ、さっそく」


 皆が、スマホを注視した。


『誘い、ありがとうございます。遅くなる時間じゃなければ、行けますよ。』


 長田は、自分のスマホを見て、件の映画の映画の上映時間を調べた。

 9時30分と22時40分、とんでもない時間だな。

 そう思いつつ、本宮に伝えた。


 「これじゃあ、行きたくてといけないんじゃないですか」

 「たしかに」


 蒼井も、同意する。


 本宮も、反省しかなかった。

 いくらなんでも、酔って勢いにまかせて、観たくもない映画をとんちんかんな時間で誘ってしまったのだ、無理もない。


 「返事はしないといけないけど」


 悩む本宮を、尻目に蒼井は、あっさり答える。


 「そんなの、行きやすい時間の映画にすればいいだけじゃない、ほらこれでいいんじゃない?」


 差し出した蒼井のスマホには、全身タイツのヒーローが写し出されていた。

 「でも、これじゃあ、相手がつまらないんじゃあ」


 「どうせ、映画観るのが目的じゃあないんだし、どっちでもよくない。」


 いつもまにか、ため口になってしまった事も気にする事はなく、言われるがまま、LINEを送る。


 すると、直ぐに既読と返事が来た。


 『いいですよ、じゃあ、来週の日曜日いかがですか?』



 

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