第25話 不在と相談
神原は、夜の街で聞いた『ハル』と本宮の好きな『春』が同一人物なのかが、気になり、後日、お店にまた行って確認したのだが、『ハル』本人は居らず、また、お店の子からもはっきりとした話を聞くことは出来なかった。
一人で考えても仕方ないと、直接、本宮に話をしようと勤め先の本屋に向かった。
閉店間際、お店に入り、女性店員に話しかけた。
店員の名札には、『蒼井』と書かれていた、何度か本宮から聞いた名前だが、直接会うのは初めてだ。
「すみません、本宮店長の友人なんですが、店長に繋いでもってもいいですか」
電話でアポも取らず、来店したのは、電話やLINEで話しの取っ掛かりが作れない事と本人に『何で急に』と問われると、話し合いにならないかもしれない、また、直接会って話したいという部分が占めていた。
「店長は、今日早上がりですよ」
しまった、そう言えば本宮が最近、お店の閉め作業を任せている事を思い出した。
まいったな、そう思っていたら、蒼井の方から話しかけてきた。
「もしかして、神原さんですか」
本宮は神原の話もしているのだろう、蒼井の方も初めて会うが何度か名前を聞いているのか多少の親近感があるようだ。
「どうしたんですか」
二人の話をしているのを見てもう一人の店員の長田が話しかけてきた。
蒼井は、神原を紹介し、本宮店長を訪ねてきた事を伝えた、長田も軽く会釈をし、会話に入る。
「しっかし、用事があるなら電話かなにかしてこればよかったんじゃないですか」
永田の意見に蒼井もうなずく、神原ももっともだと思うも、来てしまったのはしかたない、今日は帰って出直そうと思ったが、意外な提案を長田がしてきた。
「なにか用事あったんじゃないですか、それは電話じゃダメな話なんでしょう、もしよかったら俺たちにも聞かせてもらえませんか」
長田はもしかした『春』の事かと直感が働いた。
神原は、自分一人でこの件を考えるよりは、より近い二人の意見も聞きたいと思い、近くのお店で話をしたいと提案し、お店を閉まるのを待った。
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