第5話 入団試験編 試験場

人里離れたうっそうとした森の中。

「やっとついた、、」

山を降りてから4日目の昼すぎ、ついに蒼蒔は第一試験場に到着した。

「よし、明日の試験に間に合ったな、今日はこの近くで宿にしよう」

今夜の寝床を探そうと歩き始めたとき、

「ふぇぇ〜どうしよ〜」

近くから困りきった高い声が聞こえてきた。

「ん?誰かいるのか?」

声の方に近づいていくと小さい女の子がオロオロしていた。

長く美しい白髪、4尺6寸(約140cm)ぐらいの身長、白い肌に幼さの残るあどけない顔。

見た目から育ちの良さが漂ってくる。

その子は蒼蒔を見ると泣きそうな顔でテクテクと走ってきた。

「わああぁぁああ!人間だぁぁああ!よかったああぁあ!」

「おっおお、どうしたどうした」

蒼蒔にしがみついてジタバタしている。

「ぼくぅううう!山の中で迷っちゃってええ!このまま出られないかと思ってええ!」

「おお、そうだったのか、小さい子が1人で山の中に入ったら危険だぞ」

てか僕っ子か。

「小さくないもん、ぐすっ、14歳だもん、ぐすん」

「十分子供だっての。俺も今から森から出て宿を探すから一緒に来いよ。」

「え!本当ですか!ありがとうございます!」

女の子は蒼蒔の着物の袖を握って嬉しそうにニッコリ笑った。

「あっ!申し遅れました!僕の名前は

幽姫ゆきっていいます!」

礼儀正しくペコリと頭を下げる。

「ああ、俺は蒼蒔そうまだ。千早稲蒼蒔ちわせそうま。」

「ありがとう!蒼蒔!」

蒼蒔と幽姫は手を繋いで森を出た。

「ふわーやっと外だ〜」

「もう夕方だな〜」

すでに日が落ちかけて空は赤くなっていた。

「俺は宿を探すが幽姫はこれからどうする?」

「うーん、僕も宿を探そうかな〜」

「そうか気をつけてな、お前は騙されやすそうだからさ。旅してるんだっけ?」

「うん、まあ、旅みたいなもん、かな」

「危なくなる前に家に帰るんだぞ〜」

「もう!大丈夫だってば!」

「ハハハ、じゃあな。」

「うん!またどこかで会うかもね!」

「そうだな!その時はよろしくな!」

幽姫にバイバイと手を振られて蒼蒔は宿を探しに行った。





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