怪手の藍(かいしゅのらん)

八太郎(やたろう)

第1話 入団試験編 始まり

怪異物(かいいぶつ)、それは人ならざる物。

それは日本国に古くから存在し人を恐れさせてきた物。長らく人とそれは互いに不可侵であったが、いつからか、それは人を襲うようになった。人を喰うようになった。

人は考えた、そして作り上げた、怪異物を滅ぼすための技術を。室町時代に一人の男によって体系化されたその技術を【怪手道(かいしゅどう)】という。怪手道は怪異物が作り出す怪気(かいき)を人間が体内で作り出し操る技術である。怪異物には日本刀も銃火器も通じない、怪気には怪気をぶつけて叩くのみ滅ぼせるのである。


世は明治時代初期。

小さな村が怪異物に襲撃された。

近くの山奥に住んでいた老父が助けに来た時には一人の少年しか生き残っていなかった。

老父は少年を山に引き取り育てた。

そして怪手道を教えた。いつか復讐するために、人々を守るために。

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