第8話 入団試験編 余り者

「くっそう、、、」

あれから十数人に話しかけたが俺が野良の手だと分かると皆んな嫌な顔をして無視されちまう。

周りを見るとほとんどの人たちが組を作っているようだった。

もしかして余ってるのって俺だけじゃないか?

やばい、もう時間もない、このままじゃ試験を受ける前に組を作れずに失格にさせられちまう。

蒼蒔は必死で辺りを探し回った。

すると後ろから今にも泣きそうな、か細い声が聞こえてきた。

「あ、、あのぅ、、ぼ、ぼくと、組を組んでくれませんか、、、?」

その声はどこかで聞いたことがある声だった。

蒼蒔が後ろを振り返ると昨日森の中で一緒になった幽姫が泣きそうな顔でこちらを見ていた。

「え!?蒼蒔??!」

幽姫は蒼蒔を見て驚いた。

「ええ!?お前!昨日の幽姫か!??」

同じく蒼蒔も驚いていた。

「やった!本当に蒼蒔だ!」

さっきまで泣きそうだった幽姫がニッコリと笑顔になる。

「幽姫、お前なんでこんなところに??!ってかまさか俺と同じ試験を受けに来てんのか??!」

「えへへ、うん、実はね本当は旅してるんじゃなくてこの試験を受けにきたんだ。そしたらいっぱい色んな人に声かけたのに誰も僕と組になってくれないんだよ!!」

まさか幽姫が試験を受けに来ていたとは驚きだったな、、

幽姫が断られまくったのは確かにわかる。

こんな小さくて泣き虫のか弱そうな女の子と一緒に戦いたくはないだろう。足手纏いにしかならなそうだからな。

俺も本当なら組みたくはないが、もう時間もないし幽姫以外に俺と組んでくれる人もいないだろう。

俺は幽姫の肩に手を置いた。

「幽姫、俺と組もう」

幽姫はパアッと笑顔になって嬉しそうにピョンピョンと跳ねた。

「蒼蒔と一緒!蒼蒔と一緒!」

「ハハハ、お互い余り者だがこれも何かの縁だよな」

「これでお父様に怒られないで済むよ〜、えへへ」

「しっかし幽姫はすごいなーまだ小さい女の子なのに入団試験に挑むなんてさ、実は俺よりも度胸あんじゃねーか」

「ん??」

幽姫が首を傾げる。

「僕は男だよ。」

「えぇえー!!??」

心臓が止まるかと思うほどの衝撃だった。

「えぇ!!幽姫って男の子なの!?!」

幽姫がムスッと膨れて不満そうにする。

「失礼な!!僕はれっきとした男だよ!タマタマもあるんだからな!!」

マジか、、あまりにも可愛いもんだからつい女の子だと思い込んでしまっていた。

「ハハハ」

「何が面白いのさ」

「なんか勝てる気がしてきたよ」

「本当?」

「ああ、2人で協力して試験合格しようぜ」

「うん!僕も蒼蒔となら合格出来る気がしてきた!」

ドドドン!!!

再び太鼓の音が鳴る。

大男の剛善が時間終了を知らせる。

「そこまでだ!この時点で組を作れていない者は失格とする!組を作れた者達は俺について来い!」

そう言うと剛善は門の奥へと歩いていく。

これから第一試験が始まる。

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