第7話 入団試験編 野良の手

怪手道には六大流派がある。

水歩みなほとどろき白雲はくも剛寂ごうじゃく御手護みてご萬織よろずしき】の6つの流派のことである。六大流派は由緒正しく歴史が古く、その起源は怪手道の誕生にも由来するものである。それゆえに一般の人々が簡単に学ぶことは許されず、先祖代々の一族のみに継承されたり一部の名家のみが門を叩くことが出来るのだ。それでは一般の人々が怪手道を学ぶ場合はどうすればいいのか?

各六大流派には【分家制度】がある。

本家である六大流派に実力を認められて、毎月決められた上納金を支払うことによってその流派の【分家】を名乗ることが許されるのだ。分家は本家に比べてずっと敷居が低く誰でも門を叩きやすいのだ。そして六大流派とその分家以外のどこにも属していない流派は【野良のら】と呼ばれて差別されるのである。野良の手はどこにも属していないため、身元不明で胡散臭く実力も不明なため怪手道を学ぼうとする人達からも敬遠されている。

実際に野良の手の流派の中には、高い月謝を払わせるくせに本物の怪手道は教えられず、普通の武道のみを教える悪質な流派も少なくない。

千早稲蒼蒔の使用する【千年裏真流】は蒼蒔を拾ってくれたじいちゃんから教えてもらったものでどこの分家にも属していない完全な野良の手であった。

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